現代美術の世界でもっとも重要な賞のひとつであるターナー賞が、2021年のファイナリストを発表した。
今年のファイナリストには、アレイ・コレクティブ、ブラック・オブシディアン・サウンド・システム、クッキング・セクションズ、ジェントル/ラディカル、プロジェクト・アート・ワークスの5組が選出。同賞史上初のアート・コレクティブのみによるファイナリストとなる。
テート・ブリテンのディレクターであり、ターナー賞の審査委員長を務めるアレックス・ファーカーソンは声明文で、今回のファイナリストについて次のようにコメントしている。「ターナー賞の醍醐味のひとつは、イギリスの現代美術のその時々の雰囲気を的確にとらえ、反映すること。この1年間、ほとんどのアーティストが公の場で展示を行うことができなかったが、審査委員会は、パンデミックを乗り越えて作品を継続しただけでなく、その結果、さらに重要性を増した5つの優れたグループを選出した」。
9月29日〜2022年1月12日の会期で、これらのファイナリストの作品を紹介する展覧会がイギリス・コヴェントリーにあるハーバート・アート・ギャラリー&ミュージアムで開催。受賞者は、12月1日にコヴェントリー大聖堂で行われる授賞式で発表され、受賞者には2万5000ポンド、ほかの候補者にはそれぞれ1万ポンドの賞金が授与される。
イギリスのロマン主義の画家J.M.W.ターナーの名にちなんで、イギリス人もしくはイギリス在住のアーティストを対象に1984年より開催されているターナー賞。これまでギルバート&ジョージ、リチャード・ロング、アニッシュ・カプーア、アントニー・ゴームリー、ダミアン・ハースト、ヴォルフガング・ティルマンスなどのアーティストが同賞を受賞してきた。
2019年、同年のファイナリストとして選出されたローレンス・アブ・ハムダン、ヘレン・カモック、オスカー・ムリーリョ、タイ・シャニの4人は、1グループとしての審査を希望した結果、同賞史上初めてコレクティブとして共同受賞。昨年は、新型コロナウイルスの影響によって同賞が開催を取りやめ、10人のアーティストにそれぞれ1万ポンドの奨学金を授与するという形式で実施された。