オランダ政府が略奪文化財を返還へ。植民地時代の不正を是正

植民地支配下や戦争で占領された国家から、略奪や盗掘などによって不当に持ち出された文化財について、オランダ政府が本来あるべき国へと返還する方針を発表した。

オランダ・アムステルダム Photo by Adrien Olichon (C) Unsplash

 植民地支配下や戦争で占領された国家から、略奪や盗掘などによって不当に持ち出された文化財をめぐり、被略奪国が返還を要求するという事態が多発している。そんな略奪文化財について、オランダ政府が返還する方針を発表した。

 今回の決定に伴い、オランダ政府は被略奪国による返還要求や文化財の取得過程における合法性を評価する独立評価委員会を設立。返還対象となるのは、オランダが保有する文化財で、国が要求を提出することが条件となっている。

 旧オランダの植民地から盗まれたものであることが証明できる文化財は、無条件で返還される。また、他国の旧植民地から盗まれた文化財と、旧植民地の国にとって特別な文化的、歴史的、宗教的意義のある文化財も返還の対象となる。その場合は評価委員会から評価を受ける必要があり、被略奪国における対象物の文化的意義、被略奪国とオランダとの関係性、オランダのコレクションにとっての意義、対象物の保管条件、対象物への一般アクセスなどの側面が考慮されるという。

 オランダの教育・文化・科学大臣イングリッド・ファン・エンゲルシュホーフェンは、声明文で次のようにコメントしている。「植民地時代の歴史は、いまもなお多くの人々に影響を与えており、そのため私たちは植民地のコレクションをとても敏感に扱わなければならない。オランダの国家コレクションには、盗窃によって入手された文化財の場所はない。国が返還を望むのであれば、私たちは返還する」。

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