ユネスコが紛争地における文化財保護のための基金を正式に発足、すでに83億円を調達

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、3月20日にパリのルーヴル美術館で、紛争地における文化財保護のためのグローバル基金の正式発足を発表した。

過激派組織ISによって破壊される以前のパルミラのベル神殿 出典:ウィキメディアコモンズ

 今回発足したグローバル基金は、ユネスコが主管する紛争地における文化財保護のための国際ネットワーク「International Alliance for the Protection of Heritage in Conflict Zones」 (以下ALIPH)によるもの。

 ALIPHは、フランスとアラブ首長国連邦が先導してきたもので、昨年12月にアブダビで開かれた「紛争地における文化遺産保護のための国際会議」で提案され、今年3月3日にスイス・ジュネーブで設立した。今回、正式発足が発表されたALIPHによるグローバル基金は、2019年までに1億ドル(約111億円)の資金調達を目標としており、すでに目標の4分の3にあたる7500万ドル(約83億円)以上の調達を終えたという。同ファンドは14名からなる評議会が主導し、チェアマンにはアメリカの投資家、トーマス・カプランが就く予定とのこと。

 7500万ドルの拠出内訳はフランスが3000万ドル(約33億円)、アラブ首長国連邦が1500万ドル(約18億円)、サウジアラビアが2000万ドル(約22億円)となっており、このほかクウェート、ルクセンブルク、モロッコ、スイスも資金を提供。またユネスコによると、イタリアやドイツ、中国、韓国、メキシコなどもなんらかのかたちでの協力を約束しているという。

 この基金発足にあたり、ユネスコのイリナ・ボコヴァ事務局長は、「ユネスコは引き続きこの分野での国際的なイニシアチブをとるよう、全力で努めていく」とコメントしている。

編集部

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