2020.8.24

オノ・ヨーコの新作がメトロポリタン美術館のファサードに出現。コロナ禍に応答して「一緒に夢を」

メトロポリタン美術館のファサードにオノ・ヨーコの新作《DREAM TOGETHER》(2020)が登場。新型コロナウイルス危機に応答して制作された本作は、約2.88×3.12メートルにおよぶふたつの白い幕に「DREAM」と「TOGETHER」という黒い文字で構成されている。

メトロポリタン美術館のInstagramより

 8月29日の再開に先立ち、メトロポリタン美術館が5番街本館の建物正面にオノ・ヨーコによる新作《DREAM TOGETHER》(2020)を公開している。

 今回の展示は、通常美術館の正面入口に掲げられている展覧会の横断幕をアート作品で置き換える初めての試み。約2.88×3.12メートルにおよぶふたつの作品は、オノが新型コロナウイルス危機に応答して制作したもので、白い背景に「DREAM」と「TOGETHER」という黒い文字で構成されている。

 本作について、オノは声明文で次のようにコメントしている。「夢を一緒に見ると、新しい現実が生まれる。世界は恐ろしく苦しんでいるが、私たちは一緒にいる。ときには見えにくくても、この危機を乗り越える唯一の方法は、一緒になることだろう。私たち一人ひとりが世界を変える力を持っている。愛を忘れず、一緒に夢を」。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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 本作を展示する意義について、同館理事長兼CEOのダニエル・ウェイスは「この展示は、ニューヨーク市とメトロポリタン美術館が再び活気を取り戻しつつあることを示している」とコメントしている。

 いっぽう、同館館長のマックス・ホルラインは、「オノ・ヨーコがメトロポリタン美術館とニューヨークのためにつくってくれた作品は、団結と積極性、そして向上心を示す、緊急かつ詩的なメッセージだ」としつつ、次のようにこの作品を評価する。「いままでにない苦悩、不確実性、孤立から世界がゆっくりと姿を現し始め、アメリカ国内に重要な行動を求める声が聞こえてくるなか、ヨーコの『DREAM TOGETHER』はニューヨーカーたちに、希望を鼓舞し、つながりを認めることによって、挑戦や苦しみ、喪失を称えるよう呼びかけている。メットは150年にわたり、ローカルな文化とグローバルな文化との交流の場であり続けてきた。我々は、この感動的で高揚感のある作品が、すべての人に回復と団結のシグナルを送ることを願っている」。

 なお今回の作品は、同館が昨年コミッションしたアフリカ系アメリカ人アーティストのワンゲキ・ムトゥによる4つの彫刻作品《The NewOnes, will free Us》(2019)と並んで展示されており、5月末よりアメリカを中心に続いてきた反人種差別のムーブメントも想起させる。