東京・町田の町田市立国際版画美術館に隣接するかたちで、芹ヶ谷(せりがや)公園内での開館を目指してきた新美術館「国際工芸美術館(仮称)」だが、財政上の理由によって2019年度の開館予定が延期され計画の見直しが行われた。
当初、市は美術館単体で整備計画を進めていたが、新たに芹ヶ谷公園も含めて一体的な整備を目指す方針に転換。このたび同館の新たな計画が発表され、2024年度中のオープンを目指すことがわかった。
町田市は新美術館を、町田市立国際版画美術館や芹ヶ谷公園が連続した「美術エリア」となる「パークミュージアム」のひとつとして整備。公園には「体験ステージ」を設け、子供の美術体験を重視した工房などが設けられる。
町田市文化スポーツ振興部文化振興課の行政報告資料によれば、新美術館は3階構造となる予定だ。展示室、ロビー、チケットカウンター、トイレ、収蔵庫など、施設の主要機能が集まる1階部分の面積は約1200平米。加えて、屋上テラス、収蔵庫、借用品保管庫、機械室などからなる約400平米の2階部分と、トラックヤード、荷解き場などからなる約400平米の3階部分が用意される。また、新美術館はブリッジにより国際版画美術館と接続される予定だ。
なお、以前は新美術館の基本設計をシーラカンスアンドアソシエイツが担当していたが、新たな計画ではオンデザインパートナーズ、STGK、YADOKARIの共同企業体が公園・美術館の一体整備におけるデザイン監修(総合企画)と設計業務を担う。なお、新美術館単体の基本設計はオンデザインパートナーズが受託している。
内部の展示スペースは、多様な工芸品の展示手法に対応したかたちで3部屋の整備を計画。工芸品の生活における利用を想定した日常的な展示ができる展示室1、壁面に展示ケースを常設する展示室2、可動式の独立ケースを用意する展示室3で構成される。
また、今回の整備に伴い、既存の国際版画美術館も一部改修を行い、美術館の新たな顔として「アートステージ」と呼ばれる導入空間を整備する。
この「アートステージ」は4つの要素で構成。日常的かつ継続的に集団で活動を行うことのできる稽古場のような場「パークミュージアムラボ」、サードプレイスとして、展覧会を目的とした市民以外も包摂できる場「ホワイエ」、市民やスタッフが一時的なミーティングや作業を行える楽屋的な場「ルーム」、多様化する美術表現に対応する新たな展示室や舞台のような場となる「スタジオ」が追加される。
いずれも、展示フロアとは別に、子どもを含めたあらゆる人に参加・体験の場を提供するものになるという。
なお、当初計画では4900点とされていた収蔵作品数だが、新計画での収蔵数は現在のところ未定となっている。コレクションの概要も含めて、新美術館整備の今後の進展を見守りたい。