アメリカ自然史博物館が、同館の西口に設置されているアメリカ第26代大統領セオドア・ルーズベルトの騎馬像を撤去することを発表した。
この彫像は、1939年にアメリカの彫刻家ジェームズ・アール・フレーザーによって制作されたもの。セオドア・ルーズベルトが馬に乗っており、その両側を先住民と黒人が歩いている様子を表している。
撤去の理由について同館は声明文で、「この像は黒人と先住民の人々を従属的で人種的に劣っていると描写しているからだ」とし、「この問題のある像を撤去するのは正しい決定であり、正しい時期だ」と述べている。
同館の館長であるエレン・フタールは、「私たちは、人種的正義を求めるという、教育機関、都市、そして我が国の情熱的な探求を前進させるために努力している。像の撤去は進歩の象徴だ。また、包括的かつ公平な博物館コミュニティおよび社会を構築し、維持するためのコミットメントの象徴だと信じている」とコメント。
またセオドア・ルーズベルトの曾孫で、博物館の理事であるセオドア・ルーズベルトIVは、「この世界は、別の時代の遺物である彫像を必要としていない。そうした彫像は、平等や正義の価値観を反映していない」としながら、「いまは、この像を動かして前に進むときだ」と、博物館の決定を支持する姿勢を見せている。
アメリカの黒人男性ジョージ・フロイドの殺害事件に端を発した抗議デモのなかで、歴史的人物の彫像も論争の的となっている。これまでフィラデルフィアやバージニアなどの都市に設置されていた物議を醸す彫像は激しい抗議を受け、政府によって撤去された。