反人種差別の抗議活動が世界的に広がるなか、植民地時代の奴隷商人などの記念像も抗議対象となっており、公共の場に設置された人種差別的な彫像の撤去が求められている。そんななか、フランス政府は、奴隷制の犠牲者に捧げる記念碑を設置することを発表した。
このプロジェクトは、フランス海外県・海外領土大臣のアニック・ジラルダンと文化大臣のフランク・リエステルが呼びかけたもの。記念碑は、ルーヴル美術館の西側にあるチュイルリー公園に設置される予定だ。
フランスの文化省は声明文で、このプロジェクトは「奴隷制度の犠牲者たちに敬意を表し、国家への計り知れない貢献を認めたいという願いを表すものだ」とし、「記念碑は、教育的側面の強い記念の場となることを目指している」とコメント。
記念碑をデザイン・制作するため、同省は9月1日までアーティストの公募を実施。2021年3月から5月にかけて運営委員会によって審査が行われ、作品は21年秋に完成予定だ。運営委員会は、奴隷制度とその廃止の研究分野、また現代美術と歴史的記念物の保存の分野で資格のある人物によって構成される。
「The Art Newspaper」の報道によると、パリを拠点とする黒人支持団体であるフランス黒人協会(CRAN)の会長であるルイ=ジョルジュ・タンは、このプロジェクトに対して歓迎の意思を示しながら、「選出されるアーティストはアフリカ系でなければならない」と主張している。