中国の若手コレクター・黄勖夫(マイケル・ホゥアン)と謝其潤(テレサ・チェ)によって設立された私設美術館「X Museum」が、5月29日に北京に開館した。
館名にある「X」とは、様々な領域での思想の交流に生まれる無限の可能性を意味するという。開館にあたり、マイケルはこう語っている。「すべての美術館にとっては、強い個性が必要です。しかし、多くの中国の美術館はこのような個性に欠けている。新しいアイデアを生みだすことを支援する美術館が、都市や若者にとって必要不可欠なのです」。
今年3月17日に開館を予定していた同館は、新型コロナウイルスの影響で開館を約2ヶ月延期。それを受け、同館は3月6日にバーチャル美術館とオンライン展覧会を公開した。
美術館の副館長・許思雨(シュ・シーユ)はこれらのオンラインでの取り組みについて、「私たちは、より多くの方法でアートの普及を促進することを望んでいました」と振り返りつつ、「バーチャル美術館はリアルな美術館の延長線上にあり、私たちは、作品の展示場所だけでなく、将来的にはそれをコミュニティとして発展させていきたい」と説明している。
こけら落とし展「X Museumトリエンナーレ:How Do We Begin?」では、程然(チェン・ラン)や陳維(チェン・ウェイ)など33人の中国人若手アーティストの作品を紹介。「Media and Technology」「Social Reflector」「Artists and Architects as Narrators」といった3章構成の会場では、技術の発展に伴う2000年代以降の思潮の変遷を探る。
なお本展の開幕とともに、若手アーティストを対象にした「X Museumトリエンナーレ・アワード」も設立。異なる背景を持つ4人のキュレーターによる審査委員会が、ひとりの受賞者を選出する。審査委員会には、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(サーペンタイン・ギャラリー・アーティスティック・ディレクター)、ケイト・ファウル(MoMA PS1館長)、ダイアナ・キャンベル・ベタンコート(サムダニ美術財団アーティスティック・ディレクター)、張子康(中央美術学院美術館館長)が参加している。