香港、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークなどにスペースを持っているメガギャラリー、ハウザー&ワースが、自社のオンラインプラットフォームによる収益の10パーセントを世界保健機関(WHO)の「新型コロナウイルス連帯対応基金」(COVID-19 Solidarity Response Fund)に寄付することを発表した。
「#artforbetter」と名づけられたこのプロジェクトは、4月3日にスタートするアメリカ人のアーティスト、ジョージ・コンドのオンライン展覧会「Drawings for Distanced Figures」から始まる。今後、ローナ・シンプソンやラッシード・ジョンソンのオンライン個展も計画しており、これらの収益の一部も寄付される予定だ。
ギャラリーの創設者のひとりであるイワン・ワースは、「過去数週間にわたってアーティストを含むハウザー&ワース家との話し合いで、この危機的な時期には慈善的な対応が必要であることが明らかになった」とし、「我々は自分自身を世界的な共同体の一員であると考えており、世界保健機関への支援は、国境を越える緊急人道支援活動に参加する方法だ」とコメントしている。
WHOが立ち上げたこの基金は、新型コロナウイルスの大流行を予防、検出、対応する国々を支援する世界的な取り組みで、すべての国々、とくに医療システムがもっとも脆弱な国々の準備を確実にすることを目的としている。
先月、アート・バーゼルのオンライン・ビューイング・ルームに出展した同ギャラリーは開催初日、自社のオンラインプラットフォームで合計11点の作品を販売し、約320万ドル(約3億4000万円)の売上を達成。今回の寄付規模は、数十万ドル(約数千万円)およぶだろうと予想される。
このプロジェクトについて、ワースはこう付け加えている。「『#artforbetter』は、ギャラリーで長年にわたる慈善活動の中心部分になり、いまの時期を乗り越えるものだ。当社が積極的に活動しているコミュニティのために、大型プロジェクトを立ち上げるための開発をしている」。
また、ニューヨークに本社を置くメガギャラリーのひとつ、デイヴィッド・ツヴィルナーも今月より、中小ギャラリーと自社のオンラインプラットフォームを共有する特別プログラム「プラットフォーム」を設立。世界に巨大なダメージを与えている新型コロナウイルスの大流行のなか、アート界でもっとも有力なプレイヤーたちは積極的な動きを見せつつある。