2019.8.29

会田誠の「東京城」やライゾマ新作も。「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」全プログラムが明らかに

2020年に向け、東京を文化の面から盛り上げるために多彩な文化プログラムを展開する取り組み「Tokyo Tokyo FESTIVAL」。この企画公募に採択されたプロジェクトを紹介するプレゼンテーションフォーラムが開かれ、参加者それぞれが企画内容を発表した。

「Tokyo Tokyo FESTIVAL」企画公募採択プロジェクトの企画者たち
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 オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、多彩な文化プログラ ムを展開し、芸術文化都市としての東京の魅力を伝えるための取り組み「Tokyo Tokyo FESTIVAL」。

 その中核を彩る事業として、東京都とアーツカウンシル東京が行う「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」に採択されたプロジェクトを紹介するプレゼンテーションフォーラムが8月27日に開かれた。

 今回、「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」には国内外から2436件の企画応募があり、選ばれたのは13件。それらは2020年に向け順次展開される予定だ。

ゲストとしてパフォーマンスを行った蓮沼執太、コムアイ

 プレゼンテーションのトップバッターを飾ったのは、隅田川をひとつの舞台と見立てる、音楽とアートの祭典「隅田川怒涛」。企画者として登壇者した清宮陵一(特定非営利活動法人トッピングイースト)が「フェスティバルを通して、怒涛図のように繊細かつ大胆に人々を混ぜたい」と話すこの企画には、現時点で蓮沼執太、コムアイの参加が決定している。

漫画「もしも東京」展 ビジュアル

 いっぽう、日本のマンガ文化に着目するのは「漫画『もしも東京』展」。2020年夏に東京都現代美術館で行われるこの展覧会は、現在の日本を代表するマンガ家たちが「もしもの東京」をテーマに、それぞれの「東京」を描くというもの。約30年間マンガ編集に携わる企画者の石原隆(漫画「もしも東京」展実行委員会)は、「“これが私のマンガ”であり、”これが私の考える東京”である。このふたつを満たせばどんなものでもかまいません」とマンガ家たちに伝えたと話す。

「東京城2020」について話す和多利浩一

  20枚のスライドを20秒で発表する、世界的なプレゼンテーションイベント「PechaKucha Night」。このフォーマットで今回のプレゼンテーションフォーラムは進行された。そしてこの「PechaKucha Night」創設者であり建築家のアストリッド・クラインが「今回の採択案のなかで個人的には一番楽しみです」と期待を示したのが、「パビリオン・トウキョウ 2020」 だ。

 日本人の建築家とアーティストが独自のパビリオンを設計し、国内外からの観光客や住民に未来の建築やアートとして紹介するというこの企画には、藤森照信、妹島和世、藤本壮介、石上純也、平田晃久、藤原徹平、会田誠が参加予定。なかでも会田は《東京城》を出現させるという。「《東京城》は新国立競技場から3〜4キロほど離れたとある場所に設置しますが、詳細はまだ秘密です」と、ワタリウム美術館代表の和多利浩一(パビリオン・トウキョウ 2020 実行委員会)は語った。

プロジェクト「まさゆめ」

 アーティストグループや制作集団からは「目」とライゾマティクスの企画が採択された。荒神明香、南川憲二、増井宏文を中心とした「目」は、世界中からエントリーされた「顔」のなかから、「実在するひとりの顔」を2020年の東京の空に巨大に浮かべる。これまでに1400以上の顔が集まり、集まった顔について議論を交わす「顔会議」を経て、いまは選定段階だという。

真鍋大度

 そしてライゾマティクスは、最新のメディアテクノロジーと通信技術を用いた「Light and Sound Installation “Coded Field”」を今年11月16日、浄土宗大本山増上寺ほかで実施する。1000チャンネルの音と光のインスタレーションで、目に見えない情報を聞くこともできるという本プロジェクトについて、真鍋大度は「いままでにない風景を見ることができると思いますが、こんなにも大掛かりなプロジェクトが採択されていまは戦々恐々としています」と、その規模の大きさを強調した。

"la velocidad de la luz" ブエノスアイレス(2017)より 参考画像

 また、国外からはアルゼンチン出身の演劇・映像作家のマルコ・カナーレが東京に暮らす高齢者にインタビューを行い、彼らの記憶や体験をもとにした物語、土地にひもづく歴史に焦点を当てる「光の速さ -The Speed of Light-」。そして、イギリスのスタジオ「Jason Bruges Studio」が、上野公園を舞台にロボット工学と日本の庭園文化、そしてスポーツを融合したインスタレーションを展開する企画「The Constant Gardeners」 が採択された。

世界無形文化遺産フェスティバル 参考画像

 このほかには、学校や地域と連携し、舞踊を創る楽しさを共有する新たな地域文化のプラットフォームを創出する「放課後ダイバーシティ・ダンス」、伝統的な人々の憩いの場・コミュニティである日本独自の銭湯文化を世界に発信する「TOKYO SENTO Festival 2020」。

 そして、五大陸および震災の被災地を含む東北各地の無形文化遺産が集結し、人々の交流を通じて文化の未来への継承につなげる「世界無形文化遺産フェスティバル」、舞踏とそれに影響された様々な表現を東京の地下空間で再生し、舞踏の歴史を現在の視点で読み解く「TOKYO REAL UNDERGROUND」、トラックの移動性や機動力を生かし、島しょ部を含む東京全域をめぐる移動型のライブパフォーマンス「DANCE TRUCK TOKYO」が発表された。

 この日概要が発表されたのは、採択された13件のうち12件。残りの1件はシークレットとして、後日発表予定だという。