2017年にニューヨークのメトロポリタン美術館で展示されたバルテュスの《夢見るテレーズ》(1938)が大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。このテレーズを主題とした作品《Thérèse sur une banquette(ベンチシートの上のテレーズ)》(1939)が、5月13日にニューヨークで開催されるクリスティーズの印象派と近代美術イヴニング・セールに登場する。
アメリカのコレクター夫婦、ドロシーとリチャード・シャーウッドのコレクションより出品される本作について、クリスティーズ・ニューヨークの印象派と近代美術部門長であるマックス・カーターは次のようにコメントしている。
「バルテュスの傑作のひとつであるこの並外れた絵は、約60年のあいだシャーウッドの居間に飾られていました。最後に公開されたのは、2013年にメトロポリタン美術館で開催された『猫と少女』展の表紙として使われた時でした。バルテュスによるこれ以上の作品がオークションに登場したことはなく、また登場する可能性もありません。この春、クリスティーズでこれらのユニークな作品を提供できることを光栄に思います」。
予想落札価格は1200万〜1800万ドル(約13億〜20億円)。本作は、バルテュスのミューズ、テレーズ・ブランチャードを描いた肖像画シリーズの最後の一点だという。1935年、バルテュスはテレーズと知り合い、36年から39年のあいだに、テレーズをモデルにした10点の絵画を手がけていた。
なお同セールには、リチャード・ディーベンコーンの《Berkeley #32》(1955)もハイライトのひとつとして登場。予想落札価格は600万〜800万ドルとなる。