9月30日、中国で生まれ、パリを拠点に活動したアーティスト・趙無極(ザオ・ウーキー)による記念碑的な抽象画《1985年6月-10月》(1985)が、サザビーズ香港で6500万ドル(約73億9500万円)の高額で落札された。
本作の落札は、ザオの過去最高落札額である《29.01.64》(1964)の2600万ドルをはるかに超え、アジア人アーティストによる油彩画の最高額や、香港で落札された絵画の最高額などの記録を更新した。
幅10メートル、高さ2.8メートルである三連の本作は、ザオによる最大の作品だ。この作品は、建築家・貝聿銘(イオ・ミン・ペイ)が、シンガポールにある建築プロジェクトのため、ザオに委託して制作されたもの。
ザオの作品を35年販売してきた香港拠点のディーラー、パスカル・デ・サルトは、「6500万ドルの価格で、ザオ・ウーキーは、ウィレム・デ・クーニング、マーク・ロスコ、バーネット・ニューマンのような同世代の戦後アメリカのアーティストたちと並ぶ価格帯に入った」と、アメリカのメディア・ブルームバーグにコメントした。
また、サザビーズアジアの会長・黃林詩韻(パティ・ウォン)は、「今夜多くの記録が更新されたことで、アジアのコレクターがアジアや西洋の現代美術に対して深い興味を持っていることが明らかになった」と述べている。