1977年生まれのライアン・マッギンレーは、ニューヨークで自由に享楽的に生きる自分と仲間を撮影した写真集『The Kids Are All Right』で才能を見出され、2003年、ホイットニー美術館において史上最年少(当時)の25歳で個展を開催。友人との大陸横断旅行を撮影した「Road trip」、洞窟や鍾乳洞の幻想的な空間での人物を撮影した「Moonmilk」といった様々なシリーズを手がけてきた。
そんなマッギンレーが、カメラを構え、被写体を撮影するといった従来のスタイルとは一線を画す方法を取り入れた新作「Mirror, Mirror」を発表した。
「Mirror, Mirror」シリーズでは、カメラ、フィルム、20枚の鏡、そして「指示書」がモデルとなる人物のもとに届けられ、各モデルは指示書にしたがって自ら撮影を実行。指示書を用いた制作スタイルは、マッギンレーが敬愛するオノ・ヨーコ、ソル・ルウィットらの「インストラクション」に影響を受けたものだという。
「カメラを通してコンセプチュアルなアイデアを実現したい」とのマッギンレーの思いから制作された、19歳から87歳までの人々のセルフ・ポートレイト。これらは、あらゆる場所に存在するカメラがとらえる同時代のアイデンティティ、被写体の感情、理想とする身体イメージなども表す。
マッギンレーの新境地ともいえるこのシリーズは、9月29日までニューヨークのチーム・ギャラリーで開催中の個展「Mirror, Mirror」で見ることができる。いち早くチェックしたい方は、夏休みの予定に加えてみてはいかがだろうか。