つながりかえる夏。
下道基行、山城大督、藤浩志、千葉尚実による高松市美術館開館30周年記念展が開催へ

高松市美術館で2009年にスタートした、年に1度の現代美術のグループ展「高松コンテンポラリーアート・アニュアル」。8回目の開催となる今回のテーマは「つながりかえる夏」として、下道基行、千葉尚実、藤浩志、山城大督が作品を発表する。会期は7月27日〜9月2日。

下道基行 シリーズ「津波石」より 2015-

 今年で開館30周年を迎える高松市美術館。いま一度「開かれた美術館」を意識し、展覧会を通して世代を越えた幅広い人々が美術館や作品にアクセスできることを目指し、4名の作家よるグループ展が開催される。

 参加作家は、下道基行、山城大督、藤浩志、千葉尚実の4名。下道は、日本国内の戦争の遺構の現状を調査する「戦争のかたち」、祖父の遺した絵画と記憶を追う「日曜画家」、日本の国境の外側に残された日本の植民・侵略の遺構を探す「torii」などのシリーズを発表。フィールドワークをベースに、忘却されかけている物語や日常的な物事を、写真やイベント、インタビューなどの手法を通して編集・視覚化してきた。また、「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ」(2019年開催)の参加作家のひとりに選ばれたことも記憶に新しい。

山城大督 トーキング・ライツ 「六本木クロッシング 2016 展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京、2016年)での展示風景 撮影=永禮賢 写真提供=森美術館

 山城大督は、映像の持つ時間の機能に着目し、空間において「再現可能な体験」の展示を試行。アーティスト・ユニット「Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)の一員や映像ディレクターとしても活動する。

 いっぽう、取り壊された家の柱、家庭廃材を利用した地域活動など、地域社会をフィールドとした表現活動を志向してきた藤浩志は、本展では、使われなくなったおもちゃによる作品《Jurassic Plastic》(仮称)を発表する。

藤浩志 Happy Paradies 2015

 また、高松が推進する事業「高松市障がい者アートリンク」で、アーティストとして事業所に通う千葉尚実は、「関わる」ことによって意味や価値が生成し、変化していくユニークな作品を提示する。

 本展は、こうした多彩な作家が見せる複数の回路で美術(館)を多方面につなげ、開き、振り返るとことがテーマとなる。

千葉尚実 卒業アルバムから 2013-18 撮影=宮脇慎太郎

編集部

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