今年で開館30周年を迎える高松市美術館。いま一度「開かれた美術館」を意識し、展覧会を通して世代を越えた幅広い人々が美術館や作品にアクセスできることを目指し、4名の作家よるグループ展が開催される。
参加作家は、下道基行、山城大督、藤浩志、千葉尚実の4名。下道は、日本国内の戦争の遺構の現状を調査する「戦争のかたち」、祖父の遺した絵画と記憶を追う「日曜画家」、日本の国境の外側に残された日本の植民・侵略の遺構を探す「torii」などのシリーズを発表。フィールドワークをベースに、忘却されかけている物語や日常的な物事を、写真やイベント、インタビューなどの手法を通して編集・視覚化してきた。また、「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ」(2019年開催)の参加作家のひとりに選ばれたことも記憶に新しい。
山城大督は、映像の持つ時間の機能に着目し、空間において「再現可能な体験」の展示を試行。アーティスト・ユニット「Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)の一員や映像ディレクターとしても活動する。
いっぽう、取り壊された家の柱、家庭廃材を利用した地域活動など、地域社会をフィールドとした表現活動を志向してきた藤浩志は、本展では、使われなくなったおもちゃによる作品《Jurassic Plastic》(仮称)を発表する。
また、高松が推進する事業「高松市障がい者アートリンク」で、アーティストとして事業所に通う千葉尚実は、「関わる」ことによって意味や価値が生成し、変化していくユニークな作品を提示する。
本展は、こうした多彩な作家が見せる複数の回路で美術(館)を多方面につなげ、開き、振り返るとことがテーマとなる。