1744年に創業した世界最古にして最大規模のオークションハウス、サザビーズが新たな一歩を踏み出した。同社は、世界で初めてインターネットオークションを開催したオークションハウスとしても知られているが、その革新性はいまも失われていないようだ。
今回、サザビーズはAI(人工知能)のスタートアップ「スレッド・ジーニアス(Thread Genius)」の買収を発表。これによって、顧客の作品購入におけるより最適なレコメンデーション機能を提供するという。
買収されたスレッド・ジーニアスは、エンジニアのアンドリュー・シャムとアーマッド・カマーによって2015年にニューヨークで設立されたスタートアップで、AIによる画像認識とレコメンデーション技術を専門としている。サザビーズは16年に、出品作品約5万件に関する情報をデータベース化する企業「メイ・モーゼズ・アート・インディシーズ」も買収。スレッド・ジーニアスの買収はこれに続くもので、内部処理と顧客サービスにおけるデータを活用した技術革新の一環だとみられる。
サザビーズCEOのタッド・スミスはリリースの中でこう語っている。「これまでサザビーズは、特定の価格帯において作品と個人の好みをマッチングさせることで、取引を成立させてきました。サザビーズにはこうした領域のデータが集まっています。先進技術を活用することで、より素早いマッチングが可能になるとともに、スタッフにはより良いツールを、クライアントにはより良い体験を、出品者にはさらに良い結果を提供できるようになるでしょう」。
AIが今度どのようにオークション市場を活性化させるのか。また他のオークションハウスもこれに追随するのか。注目が集まる。