被写体への「親密な距離」を再発見する。写真家・上田義彦の新作個展「林檎の木」が開催

アート写真、広告写真というカテゴリーやジャンルにとらわれず、35年もの間第一線でシャッターを切り続けてきた上田義彦の新作個展「林檎の木」が小山登美夫ギャラリーで開催。会期は2017年12月2日〜2018年1月13日。

上田義彦 林檎の木 6 2017 c-print, acrylic frame 63.1×52.8cm ©Yoshihiko Ueda

 上田義彦は1957年兵庫生まれの写真家。アート写真、広告写真というカテゴリーやジャンルにとらわれず、35年もの間第一線でシャッターを切り続けてきた。自然、静物、人物など多様な主題を扱いつつも、上田は誠実で一貫したまなざしで目の前の世界の最高の瞬間を捉え、観るものを魅了している。国内外での個展での発表のほか、30冊を越える写真集を刊行してきた。

 本展で発表する新作《林檎の木》は、群馬県川場村のもっとも古い林檎の木を撮影したもの。2013年に、上田が「川場村ネイチャーフォトフェスティバル」の審査員として同地を訪れた際に車窓から目を奪われた木を、数年後もう一度訪ね撮影した。

上田義彦 林檎の木 6(部分) 2017 ©Yoshihiko Ueda

 上田は本作において、8×10(20×25センチメートル)で撮影した作品を87×68ミリメートルという縮小したサイズで現像するという新たな試みを行った。その工程により、イメージは大きく取られた印画紙の余白との間に絶妙なバランスや関係性を作り出し、上田の撮影時の「捕獲した」という感覚や、被写体への「親密な距離」を再発見させる作品となっている。

編集部

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