ソピアップ・ピッチは1971年カンボジア生まれ。90年からはマサチューセッツ大学アマースト校で医学を学んだが、ペインティングへの興味からファインアート専攻に転部、99年にシカゴ美術大学附属美術大学ペインティング専攻を修了した。メトロポリタン美術館での個展(2013、ニューヨーク)や第13回ドクメンタ(2012)への出展など、国際的に活動している作家の一人。また現在は、国立新美術館と森美術館の合同展「サンシャワー」展にも参加している。
ポルポト政権下の情勢不安により、79年以降は母国から離れていたピッチ。2002年に帰国し、再びカンボジアとのつながりを得てからは、植物や人間の解剖学に基づいた立体作品の制作を始めた。
竹や蜜蝋などの地域に根ざした素材を用いた作品には、農村で生活するなかで抱いた、自然や手工芸への畏敬の念が影響しているという。
本展では、第57回ヴェネチア・ビエンナーレ(2017)で展示したドローイング作品の発展形を含む、約12点の新作を発表。世界的アーティストによる日本初の個展に注目したい。