横尾忠則は1936年兵庫県生まれ。60年代からデザイナーや画家として活躍し、ニューヨーク近代美術館をはじめ、アムステルダムのステデリック美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など、世界各地で個展を開催。国内では、2012年に横尾忠則現代美術館(神戸)が開館、15年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞している。
横尾は1970年代初頭に2年間にわたり日本各地を旅し、風景画のシリーズ「日本原景旅行」を制作した。そのなかには、十和田で描いた《十和田湖 奥入瀬》(1973)も含まれ、これが後の横尾の代表的なテーマである「瀧」のルーツとも言われている。瀧の連作には「テクナメーション」と呼ばれる手法が用いられたものもあり、光が水のように流れる表現を見ることができる。
本展は横尾の画歴のなかから、瀧に関連する作品や、テクナメーションによる作品を厳選して展示。このほか、未発表の新作をはじめ、初期作品、モーツァルトの弥勒像、そして近年盛んに描いている猫を題材にした立体と絵画なども展示される。