1970年代、サブカルチャーの開花とともに日本社会で流行した「パロディ」。週刊誌やマンガ誌から街頭やテレビ広告として用いられ、機知と批判に富んだパロディという形式は、時代を象徴する現象となった。
赤瀬川原平の『櫻画報』(1970-71)が『朝日ジャーナル』の誌面を占領し、筒井康隆がSF小説『日本沈没』(1973)をパロディ化した『日本以外全部沈没』(1973)を発表。また、創刊当初からパロディ・マガジンを意識した『ビックリハウス』(1974-85)は若者の圧倒的な支持を集めるなど、パロディは多様な形態で頻繁に実践された。
本展では、赤瀬川原平や横尾忠則など、時代を彩ったアーティストから、知られざる作家による絵画、マンガ、グラフィックまで、約300点の作品や資料を通して、パロディという技術または形式をあらためて検討する。また、あえて一時代に焦点を絞ることによって、具体的な表現と社会の交錯を浮かび上がらせるとともに、今日における「オリジナル/コピー」をめぐる問題を根本的に考える機会となっている。