NIGO®初の大規模回顧展、ロンドンのデザイン・ミュージアムで開催へ【2/2ページ】

 展示構成は「The Future is in the Past」「Evolution」「The NIGO Effect」「New Traditions」の4章で展開される。冒頭では1980年代のNIGO®の私室を再現し、戦後アメリカ文化が日本に流入した時代背景のもとで形成された収集癖と美意識を可視化。ドナルドダックや映画『スター・ウォーズ』のフィギュア、日本の雑誌や音楽資料などが、東京という都市における文化的な混沌を象徴的に示す。

NIGO®の個人コレクションの一部であるスーパーヒーローフィギュア Photo courtesy of NIGO®

 続く「Evolution」では、1993年に高橋盾と共同で開いたショップ「NOWHERE」や、「ア ベイシング エイプ®」黎明期のデザイン画、初期プロダクトを紹介。限定生産や独創的なパッケージ、KAWS、ペプシコーラ、ディズニーなどとのコラボレーションは、今日のコラボレーション文化やコレクションへの熱を先取りした戦略として位置づけられる。また、音楽との密接な関係にも焦点を当て、NIGOがDJとして参加したヒップホップクルー・TERIYAKI BOYZ®の活動や関連グッズも展示される。

 第3章「The NIGO Effect」では、広く支持を獲得した後のNIGO®が、ルイ・ヴィトンやナイキなどのグローバルブランドと展開してきた協働を紹介。ルイ・ヴィトン2005年春夏コレクションで発表されたサングラスや、2025–26年秋冬メンズコレクションの最新ルックなどを通じ、ブランドとのコラボレーションのあり方を刷新してきた影響力を検証する。

NIGO® x ナイキ レッド バーシティ ジャケット Photo courtesy of NIGO®

 最終章「New Traditions」では、NIGO®が力を入れてきた日本の工芸や儀礼への探究に焦点を当てる。NIGO®は茶道の修練や陶芸制作を通じ、「未来は過去にある」という自身の哲学を実践してきた。本章では、25点の自作陶芸作品とともに、別荘のシェア購入サービス「NOT A HOTEL」との協働による現代的なガラスの茶室が展示され、伝統と現代性を架橋する姿勢が示される。

NIGO®による陶器作品 Photo courtesy of NIGO®

 デザイン・ミュージアム館長のティム・マーロウは、「NIGO®はストリートとラグジュアリーの境界を曖昧にし、ブランド・コラボレーションの地平を再定義してきた。その功績は大きいにもかかわらず、これまで十分に検証されてこなかった」と述べ、本展を「世界初の包括的回顧展」と位置づけている。

 東京のサブカルチャーから世界的なファッション文化へと広がったNIGO®の実践を再読する本展は、日本発の創造性がいかにしてグローバルなデザイン史を更新してきたのかを問い直す機会となりそうだ。

編集部