公益財団法人大林財団の制作助成事業「都市のヴィジョン─Obayashi Foundation Research Program」。その第5回助成対象者であるシンガポール出身のアーティスト、ホー・ルイ・アンのプロジェクト詳細が発表された。
本事業は、「都市」を表現のテーマにする国内外のアーティストの活動支援をするもの。従来の都市計画とは異なる、アーティストのユニークな発想で新しい都市像を提示する機会を促す点が特徴だ。
現代美術、映画、パフォーマンス、理論など複数の領域を横断的に活動してきたホー・ルイ・アンは、これまでアジアの経済史、植民地主義、グローバル資本主義をめぐるナラティブを批判的に読み替え、イメージと権力の関係を問う作品を発表してきた。


ホーは東アジアと東南アジアの主要な商業・金融ハブを起点に、過去1世紀のグローバル経済史を再解釈するプロジェクトを今後数年にわたり実施。本事業はそのなかの日本を扱う章のリサーチとなる。
リサーチでは、商品としての「金」に着目し、1897年の日本の金本位制を起点とする1890~1940年代の日本の金融史の調査のために、東京、大阪、佐渡などを訪れ、文献調査に加え、歴史資料、アーカイヴ映像、近代産業遺産の調査を行った。また、同時代に発展した日本の無声映画にも注目し、金本位制に関連して政府が展開した公共キャンペーンや倹約啓発映画を通して、文化芸術や視覚表現がいかに権力と結びつき、利用されてきたのかを検証し、当時登場し始めた活弁士の果たした役割にも焦点を当て調査を進めているという。


これらのリサーチの成果として、4月4日に日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホール(大ホール)にてレクチャー・スクリーニング「The Price of Gold」を開催。各地で撮影した映像や収集したアーカイヴ資料、実存する映画作品をもとに、既存の歴史的ナラティブが、ホーの視点によってどのように読み替えられ、語り直されるのか。要注目だ。

























