公益財団法人大林財団が2017年にスタートさせた2年に1度の助成制度「都市のヴィジョン − Obayashi Foundation Research Program」。その第3 回助成対象者が、ニューヨークを拠点に活動するアートユニット・エキソニモ(exonemo)に決定した。
同助成制度は、「豊かで自由な発想を持ち、さらに都市のあり方に強い興味を持つ国内外のアーティスト」を5人の推薦選考委員の推薦に基づいて決定するもので、従来の都市計画の枠組みとは異なる視点から都市における様々な問題を研究・考察し、「住んでみたい都市、新しい、あるいは、理想の都市」のあり方を提案・提言する機会を与えることを目指す。
会田誠(第1回)、シアスター・ゲイツ(第2回)に続く助成対象となったエキソニモは、千房けん輔と⾚岩やえにより1996年よりインターネット上で活動を開始したユニット。2000年より活動をインスタレーション、ライヴ・パフォーマンス、イベント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなどへと拡張し、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユー ザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り⼝と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く⼿がけている。昨年、東京都写真美術館で初となる大規模回顧展「UN-DEAD-LINK」を開催したことは記憶に新しい。
今回の選出について、選考委員長の住友文彦は次のようにコメントを発表している。「コロナ禍で私たちの⽣活がデジタル技術に依存する割合は⾼まりましたが、例えばインターネットによって産業分野の新しい可能性を探索するだけでなく、物質的な技術と⼈間の欲望が相互に及ぼす影響など、デジタル技術の内外を⾏き来する批評的な視点を⼆⼈が表現してきたことは、これからますます重要な視座になるとして⾼く評価されました。2015年以降ニューヨークに移り住み、そうした諸問題についてさらに考察を深める機会を得たexonemoは、これからの都市における芸術の役割を提⽰するうえでも相応しいアーティストであると考えました」(一部抜粋)。
同助成では、会田誠は個展を開催し、シアスター・ゲイツはレクチャーパフォーマンスを行っている。エキソニモが今後どのようなかたちで成果を発表するかは、決まり次第明らかにされる。