いっぽう、和田の新作《PORTAL》(2025)は、光学、エントロピー、風景への関心を彫刻的構造へと結晶させた作品である。天地逆さまに設置された枯れた葡萄の木(ブロンズ)が支えるフレームの内部には、2枚の強化ガラスに挟まれた透明なグラッパが満たされ、わずかな負圧によって光が微細に歪められる。向こう側の景色は光学的に揺らぎ、空間には張り詰めた気配が生じる。生命の終焉と循環を示唆しながら、物質が別のエネルギーへと移行する過程を静かに提示する作品だ。

本展を通じて、光、ガラス、金属といった素材は、同時代の緊張を映し取る媒体として編成され、「フレーム」という形式的参照が繰り返し現れる。政治的解釈と物質的含意が交錯するなかで、私たちの視覚経験が、つねにあらかじめ設定された条件や構造のもとで形成されていることを示唆する。
なお、本展と同時期に、アルフレド・ジャーおよび和田礼治郎は東京各地で複数の展覧会や関連企画に参加している。ジャーは、東京オペラシティ アートギャラリーにて個展「あなたと私、そして世界のすべての人たち」(2026年1月21日〜3月29日)を開催するほか、東京都写真美術館で行われる国際写真賞「プリピクテ」第11回展「STORM(嵐)」(〜2026年1月25日)にも出展している。
いっぽう和田は、森美術館で開催中の「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」(〜2026年3月29日)に参加するほか、SCAI PARKでの個展「SCAI PARK #45」(2025年12月16日〜)も行っている。
- 1
- 2



















