今週末に見たい展覧会ベスト14。塩田千春、グッチからDESIGNTIDE TOKYO、須田悦弘展まで【2/2ページ】

今週開幕

ウラ・フォン・ブランデンブルク「Chorsingspiel」(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)

CHORSPIEL 2010 垂れ幕、アクリルペイント、HDヴィデオに変換された16mm白黒フィルム(サウンドあり) 10分35秒 垂れ幕:297cmx7800cm Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris Photo © Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

 エスパス ルイ・ヴィトン大阪でドイツ人アーティスト ウラ・フォン・ブランデンブルクによる個展「Chorsingspiel」が開幕した。レポート記事はこちら

 ウラ・フォン・ブランデンブルクは1974年ドイツ生まれ。舞台芸術から入り、アートを学んだ。現在はパリを拠点に活動している。いまも演劇の世界に強い愛着を持ちつフォン・ブランデンブルクの作品で重要なのが「垂れ幕」であり、本展でも大きな要素となっている。

 会場は日本で初めて展示される2つのヴィデオ・インスタレーションで構成されており、それぞれが異なる幕によって「部屋」のように区切られている。ひとつは、ル・コルビュジエによる名作「サヴォア邸」で撮影された《Singspiel》(2009)で、全長62メートルもの垂れ幕と映像で構成。もうひとつの作品《CHORSPIEL》(2010)は、渦巻き状の垂れ幕の中に展示されている。

会期:2024年11月27日〜2025年5月11日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F
電話番号:0120-00-1854
開館時間:12:00〜20:00
休館日:ルイ・ヴィトン メゾン大阪御堂筋に準ずる
料金:無料

「儒教のかたち こころの鑑 一日本美術に見る儒教一」(サントリー美術館)

展示風景より

 儒教と日本美術の関係に注目し、現代の生活にも通ずる思想を紐解く展覧会「儒教のかたち こころの鑑 一日本美術に見る儒教一」が、六本木のサントリー美術館で始まっている。レポート記事はこちら

 本展は同館の開館以来、初めて「儒教」をテーマにした展覧会。孔子の有名な言葉「温故知新」が示すように、4世紀初頭に伝来した儒教と日本美術の関係に注目しながら、現代の生活にも通ずるその大切な思想を伝えることを目指している。

 全4章立てとなる本展では、日本に儒教経典『論語』が伝来してからどのように日本国内に影響を与え、人々に普及していったかを美術品を通じてたどるものとなっている。儒教と日本美術の関係を通して、思想や文化が美術というかたちでどのように表現され、受け継がれてきたかを振り返る機会をお見逃しなく。

会期:2024年11月27日~2025年1月26日 ※作品保護のため、会期中展示替えあり
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
電話番号:03-3479-8600開館時間:10:00~18:00(金、1月25日は〜20:00)
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火(1月21日は18:00まで開館)、12月30日~1月1日
料金:一般 1700円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下 無料

「DESIGNTIDE TOKYO 2024」(日本橋三井ホール)

展示風景より

 日本橋三井ホールで、「DESIGNTIDE TOKYO 2024」が11月27日~12月1日の会期で開催されている。

 DESIGNTIDE TOKYOは、現代社会におけるデザインの役割を再考し、新たな潮流を生み出すデザインイベントだ。東京のデザインシーンを世界に発信するイベントとして 2005年から2012年まで毎年秋に開催し、多くの世界的デザイナーを輩出、国内デザイン文化の発展に寄与した。

 会場構成を担当するのは、「Under35 Architects exhibition 2021」ゴールドメダルも受賞した注目の若手建築家・板坂留五(会場構成)と、東京藝術大学大学院在学中から独自の視点によって展示台座を研究する美術家・吉野俊太郎(構成協力)。公募審査と推薦により国内外から集められた32組のデザイナー、アーティストがそれぞれの作品をプレゼンテーションする出展者展示など、多彩なプログラムが展開されている。

会期:2024年11月27日〜12月1日
会場:日本橋三井ホール
住所:東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1 5F
開館時間:11:00〜20:00(最終日〜17:00)
料金:[1日券]一般 2000円 / 学生 1000円、[5日通し券]3000円 / 学生 2000円、中学生以下無料
※学生割引は学生証提示の場合のみ

「アートサイト名古屋城 2024 あるくみるきくをあじわう」(名古屋城内の各所)

メインヴィジュアル

 名古屋城内の各所(本丸御殿内、本丸御殿南側、二之丸庭園、乃木倉庫ほか)を会場に、「アートサイト名古屋城 2024 あるくみるきくをあじわう」が11月28日から開催されている。

 2023年よりスタートし好評を博した、史跡が舞台のアートプロジェクト「アートサイト名古屋城」。今秋は、年間200万人以上の人々が国内外から訪れる"観光地としての名古屋城"からインスピレーションを受け、「観光する行為」そのものに焦点をあて、「あるくみるきくをあじわう」をテーマに、総勢6組のアーティストによる作品を城内全域にわたって展開される。

 参加アーティストは、狩野哲郎、久保寛子、高力猿猴庵、菅原果歩、千種創一+ON READING、蓑虫山人。また、会期中には、夕暮れから夜間にかけて賑わう3日間の限定イベント「ナイトミュージアム名古屋城」も開催され、名古屋城を味わい、新たな魅力に遭遇する体験をすることができるだろう。

会期:[会期]2024年11月28日~12月15日、[ナイトミュージアム名古屋城]2024年12月6日~12月8日
会場:名古屋城内の各所(本丸御殿内、本丸御殿南側、二之丸庭園、乃木倉庫ほか)
住所:愛知県名古屋市中区本丸1−1
電話番号:052-231-1700
開館時間:開園:9:00〜16:30(閉門17:00) 作品観覧:10:00〜16:30 〈ナイトミュージアム名古屋城〉 開園:9:00〜19:30(閉門20:00) 作品観覧:10:00〜19:30
料金:大人 500円 / 中学生以下、障害者手帳をご提示の方と付き添い2名まで 無料

「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」(東京都庭園美術館)

メインヴィジュアル

 東京都庭園美術館で、「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」展が11月30日に始まる。

 活動当初から一貫して、鉄を素材に抽象彫刻を生み出してきた彫刻家・青木野枝と、無色透明なガラスにこだわり、光の輪郭を描き出す有機的なフォルムの作品を生み出してきた三嶋りつ惠。本展は、現代美術の第一線で活躍を続けるふたりが、東京都庭園美術館の各所に作品を配置し、新たな視点でアール・デコの装飾空間を照らし出す企画だ。

 両者が使用する「鉄」と「ガラス」という素材は、悠久の時を経て今日に伝えられた自然の恵みであると同時に、会場である旧朝香宮邸を彩る装飾として、シャンデリアやレリーフ、扉上のタンパンなどにも多用されている。ふたりは幾度となくこの場所を訪れ、1930年代の装飾空間との対話をかさねて、本展のために一期一会の展示をつくり上げる。

会期:2024年11月30日~2025年2月16日
会場:東京都庭園美術館(本館+新館)
住所:東京都港区白金台5-21-9
開館時間:10:00〜18:00(11月30日、12月6日、7日は〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月、年末年始(12月28日〜1月4日) ※ただし1月13日は開館、1月14日は休館
料金:一般 1400円 / 大学生(専修・各種専門学校含む) 1120円 / 中・高校生 700円 / 65歳以上 700円

「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館)

原田裕規 ホーム・ポート 2023/2024

 1989年に開館した広島市現代美術館と同い年で、広島出身の作家・原田裕規の美術館初の大規模個展「原田裕規:ホーム・ポート」が11月30日に開幕する。

 原田裕規(1989〜)は、2012年に「ラッセン展」や「心霊写真展」の企画でデビューし、社会のなかで広く知られる視覚文化を題材とするプロジェクトからその活動をスタートした。また近年は、広島や山口からハワイへ渡った移民について調査し、日糸アメリカ人の混成文化を題材にした映像作品『シャドーイング』を発表している。

 本展では、原田が現時点の集大成とする新展開の平面作品に加えて、これまでに制作された代表的な映像、インスタレーション、パフォーマンス作品、10代の大半を過ごした「広島時代」の初期絵画などを紹介する。原田にとっての里帰り展と言える本展をチェックしてほしい。

会期:2024年11月30日〜2025年2月9日
会場:広島市現代美術館
住所:広島県広島市南区比治山公園1-1
電話番号:082-264-1121
開館時間:10:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし1月13日は開館)、年末年始(12月27日〜2025年1月1日)、1月14日
料金:一般 1100円 / 大学生 800円 / 高校生・65歳以上 550円 / 中学生以下無料

「須田悦弘展」(渋谷区立松濤美術館)

須田悦弘 スズメウリ 2024年 作家蔵
©Suda Yoshihiro / Courtesy of Gallery Koyanagi

 渋谷区立松濤美術館で「須田悦弘展」が11月30日より開催される。

 須田悦弘(1969~)は独学で木彫の技術を磨き、 朴の木で様々な植物の彫刻を制作してきた。須田によって生み出される植物はすべて実物大で、それらを思いがけない場所にそっと置くことで空間と作品が一体となり、独自の世界をつくりあげている。

 本展は、東京都内の美術館では25年ぶりとなる須田悦弘の個展。今回、須田の初期作品やドローイング、近年取り組んでいる古美術品の欠損部分を木彫で補う補作の作品などを紹介するとともに、本展のための新作も公開する。

会期:2024年11月30日~2025年2月2日
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
電話番号:03-3465-9421
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)
休館日:月、12月29日〜1月3日、1月14日(1月13日は開館)
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生・60歳以上 500円 / 小中学生 100円

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ「Dance Floor as Study Roomーしたたかにたゆたう」(山口情報芸術センター[YCAM])

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 彼女たちの 2022

 山口情報芸術センター[YCAM]で、ウェンデリン・ファン・オルデンボルフによる新作展覧会「Dance Floor as Study Room—したたかにたゆたう」が開催される。

 ファン・オルデンボルフはオランダ現代美術を代表するアーティストのひとり。これまで映像作品やインスタレーションを通じて、人種差別、ジェンダー問題、歴史、植民地主義などの支配的言説や権力構造に対峙する数々の作品を発表しており、2022年11月に東京都現代美術館で開催された個展「ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 柔らかな舞台」も記憶に新しい。

 近年では、日本とオランダ、そしてインドネシアにゆかりのある女性アーティストのリサーチを進めており、本展では、こうしたアーティストたちに焦点を当てて制作した脚本による新作を発表。そのほか、これまでに制作された作品や多様な文化や社会を表す装置として、会場をダンスフロアに見立てたインスタレーションを展開する。

会期:2024年11月30日〜2025年3月15日
会場:山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA
住所:山口県山口市中園町7-7 
開館時間:10:00〜19:00 
休館日:火(ただし、祝日の場合は翌日)、12月29日〜1月3日、2月26日~ 3月6日、ほか
※詳細はウェブサイトをご参照ください。
料金:入場無料

編集部

Exhibition Ranking