現代美術の領域で独⾃の表現を続けるアーティスト・清川あさみ。その代表作から最新作に⾄るまで、幅広いシリーズが⼀堂に会する特別企画展「清川あさみ展『ミスティック・ウィーヴ : 神話を 縫う』」が、鹿児島霧島アートの森で開催される。
清川あさみは兵庫県淡路島⽣まれ。90年代に雑誌の読者モデルとして注⽬を集め、卒業後、アーティスト活動を本格化。2000年代には⽂化服装学院で服飾を学びながら、「ファッションと⾃⼰表現の可能性」をテーマに創作活動を開始。ソーシャルメディアや雑誌などのメディアシステムを通じて膨⼤な情報に晒される社会において、個⼈のアイデンティティの内⾯と外⾯の間に⽣じる差異や⽭盾に焦点を当て、それを可視化してきた。
会場では、本展のために厳選された「TOKYO MONSTER」「I:I」「あめつちのうた」「Serendipity」シリーズ作品のほか、陶芸家・宮下サトシとコラボレーションした陶芸と刺繍の植物を組み合わせた⽴体作品「Dream Pod」シリーズ、日本初公開となる「Mythology」シリーズ作品など、多様な約40点が登場する。
なかでも注⽬すべきは、糸と色によって自然と生命の関わりをテーマに制作される「あめつちのうた」シリーズの最新作《Our New World (Kirishima)》だ。約6メートルにおよぶ同作は、会場である“霧島”をテーマとし、現代社会で求められる⾃然との調和と⽣命の美しさを讃える想いが込められたもの。霧島の天孫降臨を思わせる新たな神話が清川の繊細で⼒強い技法によって紡がれていき、セレンディピティの中で新しい物語が誕⽣するという。
“霧島”という「古事記」や「⽇本書紀」などの⽇本神話と縁の深い場所で開催される本展。会場を取り巻く神秘的な⾃然環境が、清川あさみの作品テーマと強く結びつくだろう。
「今回の展⽰会では、これまでの代表作と最新作を通じて、私たちが⽇々直⾯する現代社会の複雑さと美しさを表現しました。特に、霧島の⾃然を背景にした新作群は、⼈間と⾃然の新しい関係を探る試みです。
皆さんが展⽰を通して、混沌としたこの世界で⾃然の美しさや⽣命の神秘に触れ、新たな気づきを得ていただけることを願っています。ぜひ、多くの⽅々に楽しんでいただければ幸いです。」(清川あさみ)