古今東西、様々な人物に扮することで「自画像的作品」の発表を行ってきたアーティスト・森村泰昌。その最新個展「森村泰昌 楽しい五重人格」が、東京・六本木のシュウゴアーツで開催される。会期は4月19日〜6月1日。
森村は1951年大阪市生まれ、大阪市在住。85年にゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト写真を発表して以来、一貫して時代や人種、性別を超えた様々な「他者」に自らが成り代わる「自画像的作品」の発表を行っており、自分ではない何かになる試みを続けながら、その根底には自分であることの意味を問い続けている。
近年では、「エゴオブスクラ東京2020-さまよえる日本の私」(原美術館、2020)や「M式「海の幸」―森村泰昌ワタシガタリの神話」(アーティゾン美術館、2021)、森村泰昌x桐竹勘十郎人間浄瑠璃「新・鏡影奇譚」(2022)、「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」(京都市京セラ美術館、2022)などの展覧会やパフォーマンスを手がけながら、北加賀屋にある自身のミュージアム「M@M(モリムラ@ミュージアム)」では定期的に企画展を開催。また、大阪大学中之島アートセンターにパブリック・アートを設置するなど、多岐に渡り充実した活動を続けている。
本展で森村が扮するのは、「甲斐庄楠音」「ナポレオン」「ミロの絵画」「カフカ」、そして「魯迅」。会場に並ぶ最新作、未発表作、近作が相互に関係性を持たない五つのセクション(=五重人格)を構成し、各種各様に自在な展開をみせるという。計14点の出品作が奏でる不協和音とともに、「森村泰昌」の多重人格性をあらためて目撃してほしい。