2022年に東京の柿の木荘で「メディウムとディメンション:Liminal」をキュレーションした美術評論家・中尾拓哉が、次なる展覧会として「メディウムとディメンション:Apparition」が開催する。会場は青山目黒。会期は12月1日〜24日。
本展タイトルにある「Apparition」は、幽霊・神などの出現を意味する言葉で、マルセル・デュシャンのメモに残された思索に由来するもの。デュシャンの代表作である《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(通称:大ガラスガラス)》(1915-1923)において、現実的な三次元を超えた高次元世界にある対象が、三次元世界の目前に「出現」することを説明するために用いられたという。
本展の参加アーティストは、映像、彫刻、インスタレーション、パフォーマンスなど多様な表現メディアで作品を発表する山内祥太。本展では、山内の個人的な恋愛体験を背景にコンピュータグラフィックスで仮想空間上に誕生した、衣服のように皮膚を脱ぐ《舞姫》(2021)と、マキ・ウエダとの共同で制作された、水槽で眠る人物が見る夢の中で繰り広げられる、匂いをめぐる演劇『汗と油のチーズのような酸っぱいジュース』(2023)を再構成するインスタレーションの2作品を展開。山内の作品を通じて「Apparition=出現」という語が示す意味を現代の視点から再考し、二次元、三次元、さらに高次元を表現することの可能性を模索するとしている。
なお会期中にはパフォーマンスを不定期に実施。 パフォーマーの動きと連動し、二つの作品の化学反応によってひとつの循環的なシステムを出現させるという。