日本を代表するブックフェアである「TOKYO ART BOOK FAIR」(以下、TABF)。その第13回が、11月23日〜26日の4日間にわたり、東京都現代美術館で開催される。
エキシビターには、国内外から約300組の独創的なアートブックを制作する出版社、ギャラリー、アーティストが参加。また 今年で7回目を迎える、ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画「ゲストカントリー」では、北欧5ヶ国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランド)を特集。またTABF初の試みとして、東京都現代美術館の近隣(neighbours)であるミニシアター「Stranger」にて、映画祭を開催する。
また、TABFが企画する2つの展覧会にも注目だ。「清里現代美術館 アーカイヴプロジェクト展」では、1990年に4人の兄弟が私財を投じて設立し、2014年に惜しまれつつ閉館した清里現代美術館にフォーカス。同館はヨーゼフ・ボイス、アーノルフ・ライナー、フルクサスを柱に現代美術作品を集めた個人美術館として知られており、2022年9月から清里現代美術館の膨大な美術書籍・資料をまとめ、出版するプロジェクト「清里現代美術館アーカイブブック プロジェクト」がスタートしている。本展では、清里現代美術館旧蔵のコレクションの一部を展示し、同館のプライベートな蒐集を通じた斬新な感覚・感性・問いかけに触れる機会を創出するという。
いっぽう、「Thomas Kong “ARTS FOR SALE”」は、北朝鮮に生まれ、アメリカ・シカゴを拠点に活動したアーティストであり、コンビニエンスストアオーナーだったトーマス・コン(1950〜2023)の特集展示だ。コンがシカゴ郊外で営んでいた小さなコンビニエンスストア「KIM’S CORNER FOOD」の店内を飾り付けるため、60歳を過ぎてからつくり始めた小さなコラージュは、いつしか店内を埋め尽くし、お店そのものをアート作品に、そして彼をアーティストに変えた。本展では、コンが遺した膨大な作品群の一部と、一点もののアートブック、惜しまれつつ閉店した「KIM’S CORNER FOOD」のアーカイヴ資料が展示される。
なお今年のTABFではそのほかにも、資生堂の企業文化誌『花椿』、TOKYO DESIGN STUDIO New Balanceがプロデュースするフリーマガジン『NOT FAR』、そしてスキン&マインドブランド、BAUMがTABFのために制作する小冊子『Trees: Five Perspectives』にまつわる、それぞれの特別ブースが設けられる予定だ。
また会期中にはゲストを招いてのトークショーや子ども向けのワークショップ、作家によるサイン会、ライブパフォーマンスなど多様なプログラムも展開されるので、あわせてチェックしたい。