上野公園の9つの文化スポットを舞台に、子供たちが科学、歴史、芸術などの領域を横断しながら学び、それぞれの思考と感性を高めるラーニング・デザイン・プロジェクト「Museum Start あいうえの」が10周年を迎える。
同プロジェクトは、東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団、東京都美術館、東京藝術大学が主催し、国立科学博物館、国立国会図書館国際子ども図書館、上野の森美術館、国立西洋美術館、東京国立博物館、恩賜上野動物園、東京文化会館が共催する、ラーニング・デザイン・プロジェクト。9つの文化機関が連携し、すべての子供たちが文化やアートを介して「社会に参加しつながりを持つこと」を推進するプロジェクトだ。
子供のミュージアム体験を応援し、子供と大人がともに学び合う対話を通した学びの場を提供してきた本プロジェクトは、これまでの10年間で、約3万5000人が参加。10年目となる今年も募集が始まっているので、そのプログラムを紹介したい。
「みるラボ:わからないのはじまり」は、聴者、ろう者、難聴者が一緒に作品を鑑賞し、思考力と感性を高める15〜18歳を対象にした3日連続のプログラムだ。音声での言葉だけではなく、手話や文字、言葉以外の方法も使いながら、そこにいる人たちと対話をして作品から感じたことや考えたことを共有する。
「ズームイン!ミュージアム 」は、小学1年生〜中学3年生が対象。グループで美術館を探検しながら、気になるポイントに注目して、そこにどんな工夫やこだわりが隠れているのか見つけることを試みる。
「〜WanderWonder〜うえので探す、うえのの不思議」は小学4年生〜中学3年生が対象。上野公園にあるミュージアムをオンラインとリアルでめぐり、作品から感じる不思議を発⾒して対話するプログラムだ。
学校向けのプログラムも用意されている。「スペシャル・マンデー」は展覧会の休室日である月曜日に行われ、作品と出会い、アート・コミュニケータと一緒に対話をする鑑賞プログラムだ。学校と美術館を結ぶ無料貸切バスも利用できる。また、「うえのウェルカム」は年間を通して、展示室を活用したコースや、建築や野外彫刻を鑑賞するコース等、幅広い授業づくりに対応するプログラムとなっている。
そして様々な家庭状況にある子供たちや多様な文化背景を持つこどもたちが、ミュージアムを楽しむための「ダイバーシティ・プログラム」にも注目したい。「ミュージアム・トリップ」は、美術館の世界を旅できるオーダーメイドのプログラムで、経済的に困難な家庭のこどもたちや、養育家庭を支援しているNPO法人の団体、児童養護施設などの団体を対象としている。また「 美術館でやさしい日本語プログラム」は、外国にルーツを持つ子供たちと日本人の子供たちを対象とした、やさしい日本語で行う作品鑑賞のプログラム。自分と他者の個性を認め、多様な文化を理解、尊重する心を育む。