特定非営利活動法人京都文化協会とキヤノンが、京都・大本山建仁寺で特別展「スミソニアン国立アジア美術館の名宝 ~高精細複製品による里帰り~」を開催する。会期は10月13日~11月3日。
本展は米国のスミソニアン国立アジア美術館の開館100周年イベントと連動したもの。同美術館の所蔵作品は、設立者の遺言により門外不出とされているため、現地を訪問しない限り、鑑賞することができない。今回展示する18作品は、こうした門外不出の日本美術の高精細複製品となる。
これらの作品は、京都文化協会とキヤノンが2007年から共同で取り組む社会貢献活動「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)で制作された。今回は、同プロジェクトの第16期で新たに制作された池田孤邨筆《紅葉に流水・山景図屏風》、俵屋宗達筆《扇面散図屏風》、狩野元信筆《四季花木草花下絵山水図押絵貼屏風》の高精細複製品が初公開。
複製品は、独自開発のカラーマッチングシステムを用いた画像処理が実施されており、12色の顔料インクを搭載した大判インクジェットプリンターで出力。さらに京都の伝統工芸士が金箔などを用いた装飾を施し、屏風に仕立てることで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現している。
会場ではこの3作品と、これまでに「綴プロジェクト」で制作したスミソニアン国立アジア美術館所蔵作品の高精細複製品15作品を加えた、計18作品を展示。今回の特別展は、これらの作品が高精細複製品として日本への里帰りを果たし、歴史ある建仁寺において一挙公開される貴重な機会となる。
複製品なのでオリジナルの文化財では難しい、ガラスケースなしでの展示や写真撮影が可能。作品が描かれた当時を彷彿とさせる寺院内という環境で作品鑑賞を楽しむことができそうだ。