映画『プラダを着た悪魔』(2006)やテレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998〜2004)の衣裳デザイナー・スタイリストとして知られるパトリシア・フィールド。彼女が長年かけて蒐集したアートコレクションが、山梨の中村キース・ヘリング美術館で一挙に公開される。会期は6月3日〜2024年5月6日。
パトリシア・フィールドは1942年ニューヨーク生まれ。24歳で初めて自身のブティック「パンツ・パブ」をオープン(のちに自らの名を冠した「パトリシア・フィールド」に改名)し、場所を移しながら「ハウス・オブ・フィールド」と呼ばれるコミュニティを形成した。現在もこの「ハウス・オブ・フィールド」は、パトリシア・フィールドを中心に彼女のブティックに所属するスタッフやデザイナー、アーティスト、美容専門家、彼女を慕う人々のコミュニティとなっている。
作品を購入することでアーティストたちを支えたフィールドには、アーティストたちからもポートレートが贈られ、それらはブティックの壁やショーウィンドウ、試着室の扉を彩ったという。しかしこのブティックは2016年春に閉店。同年、フィールドのアートコレクションの主要作品約190点が、中村キース・ヘリング美術館に収蔵されたという経緯がある。
本展では、パトリシア・フィールドが半世紀をかけて集めたコレクションから、日本初公開作品を含むペインティングや写真、オブジェなど約130点が展示。80年代以降、ニューヨークのナイトライフを記録し続ける写真家ティナ・ポールの写真が、当時の様子を物語るだろう。
また会場は、ネオンサインやマネキンなどブティックで使用されていた小道具を用いたインスタレーションによって、個性豊かなハウス・オブ・フィールドの人々とアートであふれたブティックの雰囲気を再現。ダウンタウンのクラブやアートシーンを記録したビデオグラファー、ネルソン・サリバンによる1980年代中期のブティック「パトリシア・フィールド」の映像が常時放映され、パトリシア・フィールドやブティックのスタッフ、買い物客らの会話が響くなかで作品を鑑賞できるという。