9月24日〜10月1日にサザビーズで開催されたオンライン・オークション「Dear Keith:Works from the Personal Collection of Keith Haring」では、出品作品の100パーセントが落札され、最高予想落札価格の140万ドルの3倍以上となる460万ドル(約4億8600万円)の売上を記録した。
今回のオークションでは、キース・へリング財団が管理しているヘリングの個人コレクションから144点の作品やオブジェが出品。これらの作品はほとんど、ヘリングと同時代に活躍していたアーティストから寄贈された、あるいはヘリング本人が直接購入・取引したもの。収益の全額は、ニューヨークのLGBTQコミュニティを支援する団体「ザ・センター」に寄付される。
ハイライトのひとつ、アンディ・ウォーホルが1983年に制作したヘリングとそのパートナーであるファン・デュボースのポートレート《Portrait of Keith Haring and Juan DuBose》は、同セールの最高額として50万4000ドル(約5326万円)の価格で落札。また、ウォーホルが84年にヘリングに寄贈した作品《Untitled(Tie)》は、最高予想落札価格である7000ドルの28倍以上となる20万1600ドル(約2130万円)の価格で落札された。
同セールでは、94パーセントの作品が最高予想落札価格を超えた価格で落札。そのうち約20パーセントは最高予想落札価格の10倍以上となった。また、ラメルジーや曾廣智(ツェン・クウォンチー)、ジョン・レノンとオノ・ヨーコなど、29人/組のアーティストはオークションにおける過去最高額を更新した。
例えば、ヘリングとジャン=ミシェル・バスキア、ファブ・ファイブ・フレディ、フューチュラなどのアーティストが共同制作した作品《Untitled》は、最高予想落札価格の4倍以上となる50万4000ドル(約5326万円)で落札。この作品は、ストリートアーティストが壁や電車の車内ではなく、プレキシグラスに作品を制作した珍しい例だ。また、デイビット・ボウズが88年に制作した絵画《Untitled》は1万3860ドル(約146万円)で落札され、200ドルの最高予想落札価格に対して約69倍以上を超えた。
サザビーズ・ニューヨークの現代美術オンライン・セールスの責任者であるハリソン・テンザーは、今回の結果について次のようにコメントしている。「29人のアーティストの記録を更新し、予想以上急上昇を遂げた白熱したセールという信じられない結果は、キース・ヘリングの素晴らしい遺産の証だ。キースは彼の寛大さで多くの人々の生活に触れており、今回のザ・センターへの寄付によって、彼の寛大さは継続されるだろう」。
またキース・ヘリング財団の代行理事ギル・バスケスはこう続ける。「この目的で作品コレクションを販売することは素晴らしいことだと考えていたが、このような結果は想像できなかった。これを実現するためには大勢の人々が必要だった。私たちの親愛なるキースは、誇りを持って輝いているだろう」。