「リュイユ―フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション」が、フィンランド大使館の後援を受けて、京都国立近代美術館で開催される。会期は2023年1月28日〜4月16日。
リュイユは、フィンランド・デザインの織物。1950年代にはミラノ・トリエンナーレなどに出品され、ガラスや陶芸と同様に国際的な評価を重ねてきた。
本展は、フィンランド国立博物館に次ぐ世界第二位のコレクションであるトゥオマス・ソパネン・コレクションを、日本で初めて鑑賞できる機会となる。会場には、1950年代から現在までのコレクションのうち、リュイユの歴史を概観できる重要作品として厳選された約40点が並ぶ。
そのなかには、エヴァ・ブリュンメルや、ウフラ=ベアタ・シンベリ=アールストロム、リトヴァ・プオティラなど、リュイユが「フィンランド・デザイン」として国際的に高い評価を得た時期に活躍したデザイナーたちの代表作も含まれるという。
注目すべきは、リュイユの歴史の転換点とも言える、アクセリ・ガッレン=カッレラの《炎》だ。
フィンランドが初めて単独でパヴィリオンを出品した1900年のパリ万博に合わせて制作されたこの作品は、曲線的で左右非対称のモチーフを大きく配したデザインで、当時のナショナル・ロマンティシズムの一端を担っていた。
本展で目にする作品は、全て手織の一点もの。そのどれもが、微妙に異なる色の糸が点描のように複雑に組み合わされることで、目に見える無数の階調を表現している。
近づいたり離れたりしながら作品と対峙し、写真では伝わらない「リュイユ」の色彩表現の魅力を感じるべく、本展を訪れてみてはいかがだろうか。