フィンランドの国民的画家。ヘレン・シャルフベックを描いた映画『魂のまなざし』が公開へ

モダニズムを代表する画家のひとりとして、近年世界的に注目を浴びるフィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベック。その生誕160年を記念し、彼女の画業と人生を決定づけた1915年から1923年の時代を描いた映画 『魂のまなざし』が、7月15日よりBunkamuraル・シネマほかにて順次公開される。

ティザービジュアル (C)Finland Cinematic

 フィンランドを代表するモダニズムの画家として知られ、2015~16年には日本で回顧展「ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし」が開催されたヘレン・シャルフベック(1862〜1946)。その生誕160年を記念し、映画『魂のまなざし』が7月15日よりBunkamuraル・シネマほかにて順次公開される。

 本作は、シャルフベックの画業と人生を決定づけた1915年から1923年の時代を描いたもの。シャルフベックは、ロシア帝国の支配下にあったフィンランドに生まれ、祖国の独立と内戦を経て封建的な世界が崩壊していく過程と歩調を合わせるように、画家として、女性として、ひとりの人間として自律的に生きていった。

 1915年、ヘレン・シャルフベックは、高齢の母親とともに田舎で暮らす、「忘れられた画家」だったが、ある画商が彼女を訪ね、描き溜めていた159点の作品を発見。そこから人生は大きく変わっていく。しかしさらに大きな転機となったのは、画商から紹介された15歳年下の青年エイナル・ロイターとの出会いだった。

 本作でシャルフベック役を演じるのはラウラ・ビルン。監督はアンティ・ヨキネンが務める。なお、ティザービジュアルは1915年にシャルフベックが描いた代表的な自画像《黒い背景の自画像》を模し、シャルフベ ックを演じた主演女優ラウラ・ビルの姿に置き換えて描き下ろされたもので、映画のためのオリジナル作品となっている。

STORY
1915年、ヘレン・シャルフベックは、いわば忘れられた画家であり、フィンランドの田舎で高齢の母と一緒に暮らしていた。最後の個展から何年もたっていたが、ヘレンは、栄光のためではなく内から湧き出す情熱のためだけに描き続けていた。そこへ画商のヨースタ・ステンマンが訪ねてきて、小さなあばら家にあふれていた159枚の絵を発見した。その圧倒的な才能に驚嘆した彼は、首都ヘルシンキでの大規模な個展開催を決意する。しかし、ヘレンにとって真の転機は、ヨースタが、エイナル・ロイターを彼女に紹介した時に訪れた。森林保護官でアマチュア画家でもあった青年エイナルは、ヘレンと作品の熱狂的な崇拝者というだけにとどまらず、彼女にとってかけがえのない友人そして愛の対象となる。
展覧会は大成功をおさめた。批評家から絶賛され、作品も完売した。成功とエイナルへの愛によってヘレンはそれまでの人生で経験したことのない幸福の極みにあったが、エイナルへの気持ちをはっきりと表明することはなかった。そして、突然エイナルが他の女性と婚約した時、無邪気な幸福の絶頂から真っ暗な谷底に突き落とされ、精神的な危機に陥ってしまう。だが、彼女は蘇る。友人のへレナ・ヴェスターマルクの助けを借りて彼女は長期の入院生活からゆっくりと回復し、支配的で冷たい母の呪縛から自分自身を解放することにも成功する。そして、同時代の女性芸術家たちにも先駆けて、より自立し、さらに強く成長していく。

編集部

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