「作品にお手を触れるようお願いします」。神奈川県立近代美術館 鎌倉別館でロダンらの彫刻作品にさわれる展覧会が開催へ

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館のコレクションのうち、「さわれる」彫刻作品を集めた「これってさわれるのかなー彫刻に触れる展覧会ー」が6月11日〜9月4日の会期で開催される。

ケネス・アーミテージ 訪問者たち 1961 ブロンズ 神奈川県立近代美術館蔵

 展覧会では「作品にお手を触れないようお願いします」という注意書きをよく目にする。こうした「普通」に対して「さわってみたいと思うことはありませんか?」と問いかける展覧会「これってさわれるのかなー彫刻に触れる展覧会ー」が、6月11日から神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で開催される。

オーギュスト・ロダン 《花子のマスク》 1908年(1974年鋳造) ブロンズ 神奈川県立近代美術館蔵
流政之 《ほろよい》 1970年 ブロンズ 神奈川県立近代美術館蔵 撮影:木奥惠三

 本展では、《考える人》でお馴染みの彫刻家、オーギュスト・ロダンの《花子のマスク》、箱根彫刻の森美術館常設展時作品《両腕》を制作したケネス・アーミテージの《訪問者たち》 のほか、柳原義達、流政之、浜田知明、湯原和夫ら日本の現代彫刻を牽引してきた作家の作品など、同館が所蔵する彫刻作品24点が展示される。2階ギャラリーではさらに、「素手で触れる」かたちで彫刻家・北川太郎の作品の特別出品も予定されている。

浜田知明 《首を!》 1992年 ブロンズ 神奈川県立近代美術館蔵 撮影:高山宏
湯原和夫 《四つの等しい形と一つのキューブ》 1971年 真鍮、クロームメッキ 神奈川県立近代美術館蔵 撮影:木奥惠三

 展示作品そのものも魅力的であるが、本展は何より「さわれる」展覧会である。作品が持つ造形の趣を目で見るだけではなく、手を通して感じることができるのだ。ただし、作品保護と感染症対策のため、来館者は展示室入り口にて手袋を着用することになっている。用意される手袋は学芸員や美術品輸送の専門業者が作品に触れるときと同じニトリル手袋というのが、「さわれる」展覧会のこだわりだ。

山本正道 《雲の形》 1971年 石灰石 神奈川県立近代美術館蔵 (C)photoservice

 作品に触れて質感や温度の違いを感じることは、彫刻が金属、木、陶、石など、素材の多様性をゆるす芸術だと再認識するきっかけにもなるだろう。一例として浜田知明《首を!》 はブロンズ製、土方久功《ゆうべのアンニューイ》は木製 、山本正道《雲の形》は石灰石を彫っており、辻晉堂《迷盲》は テラコッタが素材となっている。どのような差があるのか、展示を訪れ、触れて確かめほしい。

土方久功 《ゆうべのアンニューイ》 1952年 木 神奈川県立近代美術館蔵 (C)上野則宏

 目で見るだけではない、手で触れることを許された本展では「普通」とは異なる、新鮮な鑑賞体験がもたらされるだろう。

編集部

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