2022.1.21

⼑剣×浮世絵からホー・ツーニェンまで、今週末に見たい展覧会ベスト4

今週開幕した、または今週末までに閉幕する展覧会から、とくに注目したい4つをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「THE HEROES ⼑剣×浮世絵―武者たちの物語」の会場風景
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ボストン美術館の名品が勢揃い。「THE HEROES ⼑剣×浮世絵―武者たちの物語」(森アーツセンターギャラリー

「源平時代の英雄」展示風景より、手前は「太刀 折返銘 長円(薄緑)」(12世紀)

 ボストン美術館の日本美術コレクションから、選りすぐりの武者絵や刀剣が一堂に会する展覧会「THE HEROES ⼑剣×浮世絵―武者たちの物語」が、1月21日に東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開幕した(3月25日まで)。

 本展では、すべて日本初出店となる武者絵118点と、武者絵と共通のイメージがデザインされた刀剣の鐔(つば)27点から、江戸の庶民の人気を博した武者絵の世界を時代順に紹介。また、同館の刀剣コレクションから厳選した名刀や、国内所蔵の刀剣も特別出品されている。

 「源平時代の英雄」のセクションでは、源氏の重宝「太刀 折返銘 長円(薄緑)」や、平家の猛将・能登守教経(のとのかみのりつね)の所用だったと伝える「太刀 銘 友成作」を展示。ボストン美術館からは、平安から江戸まで20口の日本刀を一覧することができる。

会期:2022年1月21日~3月25日
会場:森アーツセンターギャラリー
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 52F 
電話番号:050-5542-8600 
開館時間:10:00~20:00(火~17:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休 
料金(日時指定券):一般 2100円 / 大学生・専門学校生 1500円 / 高校生・小中学生 1000円  

領域を超えた半世紀以上の活動を総括。「オルタナティブ! 小池一子展」(3331 Arts Chiyoda

メインビジュアル

 コピーライター、編集者、クリエイティブ・ディレクター、日本初のオルタナティブ・スペースの創設者として活動してきた小池一子。その活動を一挙に紹介する展覧会「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」が、3331 Arts Chiyodaで1月22日に開幕する(3月21日まで)。

 小池の仕事を「中間子」「佐賀町」の2部構成で概観する本展。「中間子」では、1959年以降に手がけられた広告ポスターや書籍、雑誌などの資料200点以上を紹介。「佐賀町」では、小池が83年に開設した「佐賀町エキジビット・スペース」で展示した横尾忠則、森村泰昌、大竹伸朗など20名のアーティストの作品約40点を展示する。

 加えて地下1階の「sagacho archives」では、内藤礼《地上にひとつの場所を》(1991/2022)を公開(事前予約制)。小池の教え子が制作するプロダクトを販売するブティック、小池の著書を閲覧できるアーカイブをあわせ持った「アーカイブティック」も開設される。領域を超えた小池の仕事とともに、小池が伴走したアーティスト・クリエイターの軌跡にも迫る内容となる。

会期:2022年1月22日~3月21日
会場:3331 Arts Chiyoda
住所:東京都千代田区外神田6丁目11-14
電話番号:03-6803-2441
開館時間:11:00~19:00 ※入場は閉場の30分前まで
休館日:会期中無休 ※sagacho archivesの内藤礼作品(完全予約制)は3月21日を除く毎週月曜日、2月22日・23日休廊
料金:一般 1000円 / シニア(65歳以上)/ 学生 800円

「赤」で探求する自分自身。「RED 堀清英写真展」(シャネル・ネクサス・ホール

展示風景より

 ファッション誌やカルチャー誌で活躍し、ミュージシャンのCDジャケットやライブ写真も手がけてきた写真家・堀清英の個展「RED」が、銀座のシャネル・ネクサス・ホールで1月19日にスタートした(2月20日まで)。

 会場では、堀が「セルフポートレート」だと語る、赤いワンピースをまとった女性を捉えた「RED」が鑑賞者を迎える。その後には、1990年代以降の作品を再編集した「WHITE」、そして創作活動の原点ともいえる手製のフォトブックやアンティークの写真が並ぶ「GRAY」が続く。色のイメージによる3部構成で、写真家の自己探求の過程をたどることができるだろう。

会期:2022年1月19日~2月20日
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階
開館時間:11:00~19:00 ※入場は18:30まで
休館日:会期中無休
料金:無料

妖怪の姿を通して見えるものとは。「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」(豊田市美術館

展示風景より、ホー・ツーニェン《36の妖怪》(2021、部分)

 国際的に注目を集めるアーティスト、ホー・ツーニェンの新作個展「百鬼夜行」が、1月23日に豊田市美術館で閉幕する。

 本展は、「あいちトリエンナーレ2019」で発表した《旅館アポリア》、今年山口情報芸術センターで発表した《ヴォイス・オブ・ヴォイド》に続く、日本をテーマとしたプロジェクトの第3弾。これまでも登場してきた第二次世界大戦中の日本軍スパイや「虎」という要素に加え、「妖怪」が作品を構成する。

 アニメーションで「百鬼夜行」を表現した《100の妖怪》には、よく知られる妖怪だけでなく、軍人やスパイ、思想家などがその姿を借りて登場。大衆文化の表象を通して、日本の歴史を浮かび上がらせる試みとなっている。キャリアを通じてアジアの問題に光を当ててきたアーティストの意欲的な新作を、逃さずチェックしてほしい。

会期:2021年10月23日~2022年1月23日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
電話番号:0565-34-6610 
開館時間:10:00~17:30 ※入館は17:00まで
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料