東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、2022年第1弾となる展覧会「RED 堀清英 写真展」が開幕した。会期は2月20日まで。
堀清英は愛知県出身の写真家。明治大学在学中の80年代にデザイン事務所でのアルバイトを機に写真に興味を持ち、カナダの写真家、故ユサフカーシュに自身のポートレイトを依頼したことをきっかけに、本格的に写真に取り組み始めた。1991年よりニューヨークのICP(国際写真センター)で学び、作品制作を開始。97年に帰国してからは、ファッション誌やカルチャー誌で活躍。数多くのミュージシャンのCDジャケットやライブ写真を手がけてきた。
現在は自身の作品制作を基盤に、人物写真を中心に活動している堀。本展は、そのなかから厳選された作品とともに、堀の自己探求の道程を示すものだ。
展覧会は3部構成。来館者はまずその鮮烈な赤の空間に驚かされるだろう。ここに並ぶ展覧会表題作の「RED」シリーズは、赤いワンピースをまとった女性を様々にとらえたもの。堀はこのシリーズを「自分自身を投影した、セルフポートレート」だと話す。
「自分が撮った写真は、そこに自分が映っていなくともすべてセルフポートレートであり自分の分身です。このシリーズは赤い服を着た女性が鏡を持つ、というところから出発しており、『RED』という言葉のみを決めて、解釈は見る方それぞれに委ねているのです」。
この「RED」を抜けると、そこには対象的な真っ白の空間「WHITE」がある。ここでは、シュルレアリスムからの影響をより強く感じさせる1990年代以降のセルフワークの数々が再編集されて並ぶ。堀の膨大な仕事の幅や、シリーズ同士の影響関係をうかがうことができるだろう。
展示の最後は、堀の創作活動の原点ともいえる手製のフォトブックや、アンティークの写真、あるいは映像などで構成された「GRAY」だ。
おおうちおさむによって手がけられたセノグラフィーが効果的に堀の仕事を浮かび上がらせる本展。3つの異なるセクションでその仕事にじっくりと向き合いたい。