2021.11.27

東博と九博で特別展「琉球」が開催。琉球文化を過去最大規模、400点近い展示物でたどる

2022年の沖縄復帰50年を記念し、琉球の歴史と文化をひもとく過去最大規模の特別展「琉球」が東京国立博物館と九州国立博物館で開催される。

国宝 玉冠付簪 冠は明時代・17世紀 簪は第二尚氏時代・17~18世紀 沖縄・那覇市歴史博物館蔵 展示期間:2022年5月3日~5月15日
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 2022年に沖縄県は日本への復帰50年を迎える。これを記念し、琉球の歴史と文化をひもとく過去最大規模の特別展「琉球」が、東京国立博物館と九州国立博物館で開催される。会期は東京会場が2022年5月3日〜6月26日、九州会場は7月16日〜9月4日。

 東京国立博物館は、明治期の沖縄県からの購入品や寄贈品で構成される潤沢な琉球のコレクションを所持している。また、本展を主催する九州国立博物館は、琉球の文化交流史を博物館活動のなかで重要視してきた。同展には、こうした2館のコレクションのほか、九州・沖縄地区の博物館が所蔵するものも含めて、400点近い品々が一堂に集結。琉球がつむいできた文化を潤沢な資料とともに展観することを目指す。

首里城公園 首里城正殿(2014撮影) 画像提供=一般財団法人沖縄美ら島財団

 展覧会は5章構成となる。第1章「万国津梁 アジアの架け橋」では、12世紀以降一体的な文化圏を形成し、15世紀に政治的な統合を遂げて誕生した琉球王国の、国際交易がもたらした繁栄に焦点を当てる。

 第2章「王権の誇り 外光と文化」は、1470年から400年にわたり琉球を治めた、琉球王国尚氏が築いた文化を紹介する。首里城を彩った王家の宝物や、中国の皇帝や日本の将軍に贈られた漆器や染織品など、王国の美意識と技術を物語る品々が展示される。

国宝 黄色地鳳凰蝙蝠宝尽青海波立波文様紅型綾袷衣裳 第二尚氏時代・18~19世紀 沖縄・那覇市歴史博物館蔵
展示期間:2022年5月17日(火)~5月29日(日)

 第3章「琉球列島の先史文化」では、貝を道具や装身具に加工する貝の文化が花開いていた、琉球の先史文化をいまに伝えるものを紹介。また、第4章「しまの人びとと祈り」では、琉球の人々の暮らしのなかにあった祭祀や信仰を知るための資料が展示される。

蝶形骨製品 縄文時代晩期・前1000~前400年 沖縄県読谷村吹出原遺跡出土 沖縄・読谷村教育委員会蔵 画像提供=世界遺産座喜味城跡ユンタンザミュージアム

 最後となる第5章「未来へ」は、第二次世界大戦やアメリカの統治、いまも残る基地問題など、様々な困難にさらされながらもその歴史や文化を未来に伝えてきた沖縄の足跡に焦点を当てる。

那覇市指定文化財 厨子甕 第二尚氏時代・雍正5年(1727) 沖縄・那覇市立壺屋焼物博物館蔵
ノロの図 第二尚氏時代・19世紀 東京国立博物館蔵 展示期間:2022年5月3日~5月29日 ※東京会場のみ

 戦前、沖縄文化の保存と復興に尽力した鎌倉芳太郎の足跡や、1992年の首里城再建の課程のほか、2015年より実施されている「琉球王国文化遺産集積・再興事業」による復元や研究の積み重ねなどを知ることができる。

模造復元 聞得大君御殿雲龍黄金簪の制作風景

 琉球の文化財を過去最大規模で紹介するだけでなく、文化や伝統を困難を乗り越えて継承しようとした、沖縄の人々の営みまでが垣間見える展示が目指される。