2022年に沖縄県は日本への復帰50年を迎える。これを記念し、琉球の歴史と文化をひもとく過去最大規模の特別展「琉球」が、東京国立博物館と九州国立博物館で開催される。会期は東京会場が2022年5月3日〜6月26日、九州会場は7月16日〜9月4日。
東京国立博物館は、明治期の沖縄県からの購入品や寄贈品で構成される潤沢な琉球のコレクションを所持している。また、本展を主催する九州国立博物館は、琉球の文化交流史を博物館活動のなかで重要視してきた。同展には、こうした2館のコレクションのほか、九州・沖縄地区の博物館が所蔵するものも含めて、400点近い品々が一堂に集結。琉球がつむいできた文化を潤沢な資料とともに展観することを目指す。
展覧会は5章構成となる。第1章「万国津梁 アジアの架け橋」では、12世紀以降一体的な文化圏を形成し、15世紀に政治的な統合を遂げて誕生した琉球王国の、国際交易がもたらした繁栄に焦点を当てる。
第2章「王権の誇り 外光と文化」は、1470年から400年にわたり琉球を治めた、琉球王国尚氏が築いた文化を紹介する。首里城を彩った王家の宝物や、中国の皇帝や日本の将軍に贈られた漆器や染織品など、王国の美意識と技術を物語る品々が展示される。
第3章「琉球列島の先史文化」では、貝を道具や装身具に加工する貝の文化が花開いていた、琉球の先史文化をいまに伝えるものを紹介。また、第4章「しまの人びとと祈り」では、琉球の人々の暮らしのなかにあった祭祀や信仰を知るための資料が展示される。
最後となる第5章「未来へ」は、第二次世界大戦やアメリカの統治、いまも残る基地問題など、様々な困難にさらされながらもその歴史や文化を未来に伝えてきた沖縄の足跡に焦点を当てる。
戦前、沖縄文化の保存と復興に尽力した鎌倉芳太郎の足跡や、1992年の首里城再建の課程のほか、2015年より実施されている「琉球王国文化遺産集積・再興事業」による復元や研究の積み重ねなどを知ることができる。
琉球の文化財を過去最大規模で紹介するだけでなく、文化や伝統を困難を乗り越えて継承しようとした、沖縄の人々の営みまでが垣間見える展示が目指される。