開催迫る「庵野秀明展」。多彩な資料で制作の全体像に迫る

「エヴァンゲリオン」シリーズで知られる庵野秀明。その制作活動に焦点を当てた世界初の展覧会「庵野秀明展」が、10月1日より東京・六本木の国立新美術館で開催される。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』 2009年公開  (c)カラー

 今年公開された最新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も多くの話題を集めた庵野秀明。これまでにアニメーションや実写など様々な作品を手がけてきた庵野の世界に迫る世界初の展覧会「庵野秀明展」が、東京・六本木の国立新美術館で間もなく開幕する。会期は10月1日〜12月19日。

『じょうぶなタイヤ!SHADOタイヤ』 1980年発表 (c)HIDEAKI ANNO

 庵野は1960年山口県生まれ。高校、大学での自主映画制作を経て、アニメーターとして宮崎駿監督『風の谷のナウシカ』(1984)などに参加。『トップをねらえ!』(1988)で初監督を務めた後、『ふしぎの海のナディア』(1990)や『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)と話題作を続けて監督した。2006 年には株式会社カラーを設立し代表取締役に就任。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ及び『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2007~2021)では企画、原作、脚本、総監督、エグゼクティブ・プロデューサーを務め、2016年には『シン・ゴジラ』の脚本と総監督を務めている。

『新世紀エヴァンゲリオン』 1995年放送 (c)カラー/Project Eva.

 本展は、庵野がアニメーター時代に参加した過去作品や、監督、プロデューサーとして活躍する最新の仕事までを網羅。その創作活動の秘密に迫るもの。展示は大きく「過去」「現在」「未来」の3つの要素で構成される。

 「過去」では『ウルトラマン』や『仮面ライダー』、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』など、庵野秀明が幼少期から敬愛する漫画、アニメ、特撮作品にまつわる貴重な資料を一挙展示。さらに、縦3メートル×横15メートルの巨大LEDスクリーンを駆使し、庵野が敬愛する映像作品を振り返ることで、「庵野秀明をつくったもの」を体感していく。

大学時代のイラスト 1983年発表 (c)HIDEAKI ANNO
『DAICON III オープニングアニメーション』 1981年発表 (c)DAICON FILM

 「現在」は無名だったアマチュア時代から、一世を風靡した『新世紀エヴァンゲリオン』、そして興行収入100 億円を超える記録となった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』にいたるまでを紹介。庵野秀明が何を考え、つくってきたのか、数十年に及ぶ創作活動を門外不出の関連資料でたどり、映像制作にかける情熱と試行錯誤の過程をひも解くという。

『王立宇宙軍』パイロットフィルム 1986年発表 (c)BANDAI VISUAL・GAINAX
『ふしぎの海のナディア』 1990年放送 (c)NHK・NEP
『ラブ&ポップ』 1998年公開 (c)1998ラブ&ポップ製作機構

 「未来」 は、「僕らがいなくなってもアニメや特撮が残るようにしたい」という思いで庵野秀明が立ち上げた、ATAC(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構)をはじめ、未来へ向けた継承のためのプロジェクトを紹介。そして、『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』、『シン・仮面ライダー』の大型立像など、最新の仕事も紹介する。

『シン・ゴジラ』 2016年公開 (c)2016 TOHO CO.,LTD.

 作品の貴重な原画やミニチュアなどをはじめ、アマチュア時代から現在までの直筆の膨大なメモやイラスト、独自の映像作りに欠かせない脚本、設定、イメージスケッチ、画コンテ、レイアウト、原画からミニチュアセットにいたるまで多彩な制作資料を余すところなく展示する、貴重な機会となっている。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 2021年公開 (c)カラー

編集部

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