透明樹脂にアクリル絵具で金魚を描くという、独自の手法で注目を集める現代美術家・深堀隆介。その個展「金魚鉢、地球鉢。」が、12月2日〜2022年1月31日の会期で上野の森美術館にて開催される。
深堀は1973年愛知県生まれ。幼少期に弥富市の金魚を見て育てられた彼は、2000年にアーティストとしての活動を悩んでいた時期、放置していた水槽で生き続ける金魚の存在に気づき、その美しさに心打たれ、金魚をモチーフに制作を開始した。
深堀はこの体験を「金魚救い」と呼び、後に平面の絵画作品と立体作品との境界に揺さぶりをかける革命的な技法「2.5D Painting」を編み出した。器のなかに樹脂を流し込み、その表面にアクリル絵具で金魚を少しずつ部分的に描いていき、さらにそのうえから樹脂を重ねて作業を繰り返すことにより、まるで生きているかのような金魚が現れ、圧倒的な立体感が生み出される。
国内にとどまらず、ニューヨーク、ロンドン、ミュンヘン、香港など海外でも個展を開催し、高い評価を受けている深堀。近年ではライブペインティングやインスタレーションにも力を入れ、表現と活動の幅を広げている。
本展では、深堀による約300点もの作品が展示。絵画でありながら立体的な躍動感にあふれ、その不思議な美しさを湛えた「深堀金魚」を堪能してほしい。