2021.4.23

「アナザーエナジー展」から原美術館ARCの初展覧会まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週スタートした展覧会のなかから、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。なお緊急事態宣言のため、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」展示風景より、フリーダ・バーロウ《アンダーカバー2》(2020)
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71歳以上の女性作家16人が集結。「アナザーエナジー展」(森美術館

 近年、ジェンダーや人種、民族、信条などのアイデンティティの不均衡を正し、ダイバーシティを重視する動きが世界中に拡大しているなか、世界各地で挑戦を続ける女性アーティストの活動に光を当てる展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」が、森美術館で開幕した。

展示風景より、三島喜美代《作品2-A》(2021)と《作品92-N》(1990-1992)

 参加アーティストは、エテル・アドナン、フィリダ・バーロウ、アンナ・ボギギアン、ミリアム・カーン、リリ・デュジュリー、アンナ・ベラ・ガイゲル、ベアトリス・ゴンザレス、カルメン・ヘレラ、キム・スンギ、スザンヌ・レイシー、三島喜美代、宮本和子、センガ・ネングディ、ヌヌンWS、アルピタ・シン、ロビン・ホワイトの16名。

 年齢は71歳から105歳までと幅広く、出身地はレバノン、イギリス、エジプト、スイス、ベルギー、韓国、日本など世界14ヶ国におよび、現在の活動拠点も多岐にわたる。いずれも50年以上という長いキャリアを誇るアーティストたちが、それぞれ放つエナジーをぜひ会場にて体感してほしい。

会期:2021年4月22日〜9月26日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00〜22:00(火〜17:00)、4月22日〜5月11日は20:00まで(火〜17:00、5月14日〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:会期中無休 
料金(平日 当日窓口):一般 2000円 / 高校・大学生 1300円 / 4歳〜中学生 700円 / 65歳以上 1700円
料金(平日 オンライン):一般 1800円 / 高校・大学生 1200円 / 4歳〜中学生 600円 / 65歳以上 1500円
料金(土日祝 当日窓口):一般 2200円 / 高校・大学生 1400円 / 4歳〜中学生 800円 / 65歳以上 1900円
料金(土日祝 オンライン):一般 2000円 / 高校・大学生 1300円 / 4歳〜中学生 700円 / 65歳以上 1700円
最新情報は美術館公式サイトを確認のこと

牟礼の石彫も大規模公開。「イサム・ノグチ 発見の道」(東京都美術館

 20世紀を代表する芸術家で、彫刻、舞台芸術、家具、ランドスケープデザインなど様々な分野で巨大な足跡を残したイサム・ノグチ(1904〜1988)。その芸術のエッセンスに迫る展覧会「イサム・ノグチ 発見の道」が、東京都美術館でスタートする。

「AKARI CLOUD」インスタレーション イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)での展示風景(2018-19) Photo by Nicholas Knight (C) The Noguchi Museum /ARS

 日本人の父とアメリカ人の母の元に生まれ、アイデンティティの葛藤に苦しみながらも独自の彫刻哲学を打ち立てたノグチ。本展では、国内外の多数の大型作品をはじめ、30年以上に渡って取り組み続けられた光の彫刻「あかり」を含めて約90件の作品を3章構成で紹介。「彫刻とは何か」を追求したノグチの創造の軌跡をたどる。

 とくに第3章「石の庭」では、ノグチが晩年を過ごした香川県高松市牟礼町のアトリエに残された複数の彫刻を初めて美術館で展示。長い造形的実験につながる「発見」の道行きの到達地である牟礼のアトリエのエッセンスや、インスピレーションを与え続けてそれ自体が作品と言い得る空間全体の味わいに迫り、ノグチ芸術の精髄を体感することができるだろう。

会期:2021年4月24日~8月29日
会場:東京都美術館 企画展示室
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話番号:03-5777-8600
開館時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
休館日:月 ※ただし、5月3日(月・祝)、7月26日(月)、8月2日(月)、8月9日(月・休)は開室
料金:一般 1900円 / 大学生・専門学校生 1300円 / 65歳以上 1100円 / 高校生以下は無料
※本展は日時指定予約を推奨。詳細は特設WEBサイトを参照

原美術館ARCでの初の展覧会。「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」(原美術館ARC)

 今年1月に東京での活動を終了した原美術館と群馬県の別館ハラ ミュージアム アークが統合され、原美術館ARCとしてスタート。初の展覧会「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」が開催される。

奈良美智 My Drawing Room 2004年8月~原美術館(品川)での展示風景 参考図版 撮影=木奥惠三

 本展は、多様性や共存、平和の象徴とされることもある虹をテーマに、原美術館設立時から収集した、1950年代から現在までの世界各地の現代美術で構成される「原美術館コレクション」と、明治時代の産業振興に貢献した実業家・原六郎の古美術コレクションからなる「原六郎コレクション」より、多様な作家たちの表現を概覧する。

 展示の中心となるのは、同館を運営する財団「アルカンシエール(Arc-en Ciel)」の創立者であり、原美術館館長を兼務していた原俊夫が、2018年に初めてキュレーションした「現代美術に魅せられて」展の出品作や、コロナ禍により中止を余儀なくされた原美術館最後の収蔵品展に展示する予定だった作品群。加えて、奈良美智、宮島達男、森村泰昌の人気常設作品がリニューアルされ、今後は原美術館ARCの顔として来場者を迎える。

会期:[第1期(春夏季)]2021年4月24日~9月5日、[第2期(秋冬季)]2021年9月11日~2022年1月10日
会場:原美術館ARC
住所:群馬県渋川市金井2855-1
電話番号:0279-24-6585
開館時間:09:30~16:30(入館は16:00まで)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:木(祝日と8月を除く)、展示替え期間、2022年1月1日
料金:一般 1100円 / 大学・高校生 700円 小中生 500円 / 70歳以上 550円