今年1月、惜しまれつつ東京での活動を終了した原美術館が、「原美術館ARC」として4月24日に始動する。
原美術館ARCは、原美術館と、磯崎新の設計で1988年に開館した別館ハラ ミュージアム アーク(群馬県渋川市)が統合した美術館。建築は旧ハラ ミュージアム アークを利用し、「原美術館コレクション」(現代美術)と「原六郎コレクション」(東洋古美術)の2つのコレクションを軸に活動を続けていく。
原美術館コレクションは、公益財団法人アルカンシエール美術財団理事長の原俊夫が原美術館設立時から収集している現代美術のコレクションで、その数は約1000点。いっぽうの原六郎コレクションは、明治時代の実業家・原六郎(1842〜1933)が収集した古美術コレクションのうち、近世日本絵画を中心とする約120点からなる。
原美術館ARCとして初となる展覧会は「虹をかける:原美術館コレクション」展。「虹」は、同館を運営する財団の名称「アルカンシエール(Arc-en Ciel)」の和訳であり、原美術館とハラ ミュージアム アークの個性を原美術館ARCへとつなぐ表象でもある。
展覧会では、「原美術館コレクション」と「原六郎コレクション」から、性別も国籍も文化も異なるアーティストたちの多様な表現を展観。中心となるのは、理事長の原俊夫が企画し、2018年に原美術館において前期・後期の2期に分けて開催された展覧会「現代美術に魅せられて」展の出品作品だ。またコロナ禍により中止を余儀なくされた原美術館最後の収蔵品展に展示する予定だった作品群も展示される。
加えて注目したいのは、原美術館で常設展示されていた作品だ。原美術館ARCの始動と同時に、奈良美智、宮島達男、森村泰昌の常設作品がリニューアルされ、今後は同館を代表する「顔」となることが期待される。
全期通じての出品作品は、アニッシュ・カプーア《虚空》、草間彌生《ミラールーム(かぼちゃ)》、宮島達男《時の連鎖》、森村泰昌《ロンド ネオ》(仮題)、奈良美智《My Drawing Room》、鈴木康広《日本列島のベンチ》、束芋《真夜中の海》。
第1期(春夏季)は、現代美術から艾未未(アイ・ウェイウェイ)やアンディ・ウォーホル、河原温、工藤哲巳、篠田桃紅、篠原有司男、ジャスパー・ジョーンズ、杉本博司、須田悦弘、ジャクソン・ポロック、クリスト、ロバート・ラウシェンバーグ、ジム・ランビー、李禹煥、マーク・ロスコなどが、古美術からは狩野探幽《龍虎図》や円山応挙《淀川両岸図巻》などが展示される。
第2期(秋冬季)は、現代美術から荒木経惟、加藤泉、アンゼルム・キーファー、ウィリアム・ケントリッジ、崔在銀(チェ・ジェウン)、蜷川実花、クリスチャン・ボルタンスキー、やなぎみわ、柳幸典、米田知子、横尾忠則、ピピロッティ・リスト、ジャン=ピエール レイノーなどが、古美術では狩野派《雲龍図》、狩野派《層嶺瀑布図》などが並ぶ。