ペインティングを中心に、ドローイングや彫刻、インスタレーション、サウンドパフォーマンスなど様々な表現方法を用いて、現代社会における自然と人間の境界線を問う作品を手がける平子雄一。その個展「GIFT」が、東京・天王洲のKOTARO NUKAGAで開催される。会期は1月23日〜2月27日。
豊かな自然に囲まれた岡山で育ち、ロンドンに渡った平子は、都会の人々が嗜好する自然が人工的に制御されたものであることに違和感を覚え、以来一貫して自然と人間の関係性をテーマに制作を続けてきた。平子は作品のなかで自然や植物を人や構造物と同等のものとして扱い、混在させることで、人と植物、内と外の曖昧な状況を創造している。
今回の個展のタイトル「GIFT」は、自然環境が絶え間なく変化を続けるに伴い、人々の自然に対する価値観も変容していくことに着目して付けられたもの。例えばプレゼントとして贈られた花は美しく咲き誇り、人々はその美しさを保つために手入れするが、やがて枯れてしまえば不要なものとして廃棄されてしまう。自然は選別され、人間に都合よく消費されていく。
平子はこうした選別を、樹木と人間が融合した人物によって象徴。一見ユーモラスで可愛らしい姿をしているが、それは人間のエゴを体現する存在としてしばしば作品に登場する。平子の絵画は、自身が普段目の当たりにする現実世界を組み合わせた現実の延長として存在し、見るものに自然と人間の関係について再考を促す。
本展では、大型の平面作品や立体作品を含め、新作30点以上を発表。さらにスケールアップしたその作品世界に注目したい。