1988年にパリにファッションブランド「メゾン・マルタン・マルジェラ」を設立し、2008年に引退したデザイナー、マルタン・マルジェラ。その初となるアート個展が、4月15日〜7月25日にパリのギャラリー・ラファイエット・グループ財団が運営するアートスペース「ラファイエット・アンティシパシオン」で開催される。
マルジェラは1957年ベルギー・ヘンク生まれ。79年にアントワープ王立芸術学院を卒業し、84年にはジャン=ポール・ゴルチエのアトリエにアシスタントとして入り、87年まで修行を積んだ。その後自身のブランドを設立し、エルメスのレディースプレタポルテのデザイン担当や、コム デ ギャルソンとのコラボレーションなどを行ってきた。
80年代以降、マルジェラはショー、素材、フォルムを通じて可能性の限界を押し広げ、ファッション業界においてコンセプチュアルで美学的な革命を起こした。マルジェラにとって初のアート個展となる本展では、マルジェラは展示空間を変容させ、「トータル・アートワーク」としてデザイン。時間の経過、消失、偶然、神秘、オーラなど、マルジェラがインスピレーションを受けてきたテーマにまつわる、これまでに発表されたことのない数々の作品を一堂に紹介する。
ラファイエット・アンティシパシオンは声明文で、マルジェラを次のように評価している。「マルタン・マルジェラはつねに私たちの見方を変えてきた。支配的な価値観に逆らって、目立たない存在、忘れ去られたもの、見落とされた場所や出来事への執着心を育み、新たな尊厳を植え付けてきた。視点を変えることで、彼は平凡で些細なものを不思議で驚異の源に変えていく」。
また、本展について同スペースはこう続ける。「マルジェラは、典型的な象徴主義的な方法で複数のメディアを利用し、10代の頃に始まったアートへの執着を初めて公の場で明らかにする。本展は、彼がつねにアートワールドの内外で作品を恒久に展示してきたアーティストであることを証明する」。
ベールに包まれた伝説のファッションデザイナー、マルタン・マルジェラ。その知られざる一面に大きな注目が集まる。