編集者として活動を始め、ラジオ番組の構成や、多数のテレビドラマの脚本を手がけた向田邦子。エッセイや短編小説も手がけ、残された多くの言葉と物語はいまも色あせることなく人々の心に響き続けている。
台湾の飛行機事故での突然の死から40年となる2021年、向田が最後の10年を過ごし愛した街・青山のスパイラルで、特別イベント「いま、風が吹いている」が開催(2021年1月14日~24日)。展覧会やドキュメンタリーの上映、舞台、コンサートなど様々なプログラムが行われる。
スパイラルガーデンでは、展覧会「いま、風が吹いている」を開催。空間全体に「風が吹き抜けていく」流れをイメージし、向田の愛用品や生原稿、写真など約300点の資料を展示する。また大きな吹き抜け空間には、向田作品から選りすぐった言葉を小泉今日子が朗読する音声が流れる「風の塔」も設置される。
スパイラルホールでは、向田のドラマや小説、エッセイ、食、装いなどに魅せられた各界の約30名が「わたしと向田邦子」を大いに語り、歌い、踊り、つくるドキュメンタリー『向田邦子の贈り物』を上映(1月20日、21日)。
また、向田邦子脚本の大ヒットドラマ「寺内貫太郎一家」が蘇る舞台『寺内貫太郎33回忌』(1月23日)、『阿修羅のごとく』『あ・うん』のテーマ曲など、向田作品お馴染みの楽曲を演奏する『向田邦子・風のコンサート』(1月24日)も行われる。
加えてカフェでは、向田の末妹・和子が始めた赤坂の小料理屋「ままや」の看板メニューだった「ひと口カレー」「人参のピリ煮」「さつまいものレモン煮」を、料理家の冷水希三子が再解釈して蘇らせる「ままやセット」を提供する(1日限定30食)。
そのほかにもトークや書籍の販売など、スパイラル全館で向田邦子の軌跡をたどる同イベント。その51年間の人生と、様々な分野の才能が出会うことで生まれる新たなクリエーションに注目したい。
※ドキュメンタリー『向田邦子の贈り物』、演劇『寺内貫太郎33回忌』、音楽『風のコンサート』については新型コロナウイルス感染拡大の影響で配信のみに変更。配信は2月27日より予定。