齋藤陽道の個展が三越コンテンポラリーギャラリーで開催。光に照らされた被写体に宿るいのちの瞬き

写真家・齋藤陽道の個展「絶対」が日本橋三越の三越コンテンポラリーギャラリーで開催中。逆光によるポートレイトシリーズ約20点を紹介する。会期は11月18日〜30日。

齋藤陽道 母子 2015/2020 発色現像方式印画 49×59cm撮影年:2015年 / プリント年:2020年技法:発色現像方式印画

 写真家・齋藤陽道の個展「絶対」が日本橋三越の三越コンテンポラリーギャラリーで開催されている。会期は11月18日〜30日。

 齋藤陽道は1983年東京都生まれ、都立石神井ろう学校卒業。2008年ごろから写真に取り組み、10年には第33回写真新世紀優秀賞を受賞。20年には、河合広樹監督による齋藤が子育てを通して嫌いだった「うた」に出会うまでのドキュメンタリー映画、『うたのはじまり』にも出演した。

 齋藤が補聴器を捨て、カメラを持ったのは20歳のとき。「聞く」ことよりも「見る」ことを選び、写真という表現を通して、自身の疑問や他者と正面から向き合ってきた。「絶対」と題された同展では、光に照らされた被写体から放たれる、いのちの瞬きを収めた逆光によるポートレイトシリーズの約20点を紹介する。

齋藤陽道 少女 2015/2020 発色現像方式印画 49×59cm

 齋藤は本展について次のようにコメントをしている。「肩書や、職業、種族、民族、性差、年齢、障害名といった言葉のレッテルを通して、いのちをまなざすことをしたくはない。けれども、そう願う私自身、すでに貼られたレッテルを見てわかった気になる怠け心は根深くあります。言葉に区切られて当然といった世界観から、自由になりたい。甘ったるい夢物語と笑われようとも、それが私の長年の願いであり、戦いです。『絶対』の逆光ポートレイトシリーズは、いのちを言葉で区別することの無意味さを、私自身が、思い知らされる作品として生まれました」。

齋藤陽道 オウム 2015/2020 発色現像方式印画 49×59cm

編集部

Exhibition Ranking