今春、京都で「杉本博司 瑠璃の浄土」(京都市京セラ美術館、5月26日~)、「飄々表具―杉本博司の表具表現世界―」(細見美術館、4月4日~)の2展を控えるほか、「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」(森美術館、7月31日~)にも参加する杉本博司。
その個展「Past Presence」が、東京・銀座のギャラリー小柳で開催される。会期は3月14日〜8月29日。
杉本は1948年生まれ、74年よりニューヨーク在住。写真や彫刻、建築、演劇など多岐にわたる分野で活動しながら、時間の性質や人間の知覚、意識の起源を探求してきた。
本展では、国内初公開となる「Past Presence」シリーズから新作4点を展示。同シリーズは、杉本の長年のテーマである時間と歴史を、ジャコメッティ、ブランクーシ、ピカソ、マグリットなどによる作品群を通して探求するもの。それぞれを写した写真は杉本の「建築」シリーズと同様に、焦点を無限の2倍にして撮影されている。
意図的にぼかされた写真が浮かび上がらせるのは、アーティストが理想としたフォルムや脳内で発想されたイメージそのままの姿。杉本の表現は鑑賞者の視覚的記憶を呼び起こしながら、作品を取り巻くディテールを取り除き、作品本来の概念や本質を顧みるように投げかけている。
同シリーズの制作当初にジャコメッティの作品を撮影し、「能舞台を見る心持ちがした」と語る杉本。その眼差しを通したモダン・マスターズの作品群を、会場で目撃してほしい。
※ギャラリー小柳は6月9日より当面のあいだ予約制で再開し、杉本博司「Past Presence」展の会期を延長して開催(当初の会期は3月14日〜4月25日)。最新情報は公式ウェブサイトまで。