EXHIBITIONS

杉本博司「Past Presence」

2020.06.09 - 08.29

杉本博司 Past Presence 001, Tall Figure, III, Alberto Giacometti 2013 © Hiroshi Sugimoto Courtesy of Gallery Koyanagi depicted artwork © Succession Alberto Giacometti(Fondation Giacometti, Paris + ADAGP, Paris) 2020

 写真をはじめ、建築や著述など幅広く活動する現代美術作家・杉本博司が個展を開催。本展では、国内初公開となる「Past Presence」シリーズから新作4点を発表する。

 杉本は1948年東京都生まれ。74年よりニューヨーク在住。活動分野は、写真、彫刻、インスタレーション、演劇、建築、造園、執筆、料理と多岐にわたる。代表作に「海景」、「劇場」、「建築」シリーズなど。作品は歴史と存在の一過性をテーマとし、経験主義と形而上学の知見を裏付けに、西洋と東洋との狭間に観念の橋渡しをしようとする意図をもって、時間の性質、人間の知覚、意識の起源を探求している。世界的に高い評価を受ける作品は、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)やポンピドゥ・センター(パリ)など世界有数の美術館に収蔵されている。

 本展で展示される「Past Presence」シリーズは、杉本の長年のテーマである時間と歴史を、20世紀のモダン・マスターズの作品群から探ったもの。ジャコメッティ、ブランクーシ、ピカソマグリットなど、それぞれの作品を写した写真は、杉本の「建築」シリーズと同様に、無限の2倍の焦点で撮影された。

 意図的に焦点をぼかされた「Past Presence」は、作家の理想的なフォルムや脳内で発想されたイメージそのままの姿を浮かび上がらせ、鑑賞者に無意識のうちに馴染みのあるかたちを見出させる。こうした杉本の表現は、私たちの視覚的記憶を呼び起こし、イメージとはどのように記憶され、正確な記憶として想起されるか、作品本来の概念や本質についての問いを投げかける。

※ギャラリー小柳は6月9日より当面のあいだ予約制で再開し、杉本博司「Past Presence」展の会期を延長して開催(当初の会期は3月14日〜4月25日)。最新情報は公式ウェブサイトまで。