東京オリンピックを来年に控え、国内外からの関心が高まる日本の文化。東京の前身であり、日本の独自性が花開いた江戸の文化を伝える浮世絵には、同時代の風俗史として日本の食が描かれてきた。
今回、「和食」が無形文化遺産に登録されたなどの昨今の流れも受け、2020年4月より「浮世絵」と「食」を掛け合わせた展覧会「おいしい浮世絵展 ~北斎 広重 国芳が描いた江戸の味わい~」が、東京の六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーで開催される。会期は2020年7月15日~9月13日。
本展は、浮世絵のなかに描かれた食のシーンを追いながら、浮世絵そのものの魅力と、現代の暮らしにもつながる江戸の食文化を紐解くというもの。江戸を象徴する代表的な料理として、浮世絵のなかにもたびたび登場する「寿司」「うなぎ」「天ぷら」「そば」など、四季折々の江戸の食材と料理法を紹介するほか、当時どのような料理法が存在したのかについても、再現料理の写真やレシピの解説を通じて知ることができる。
見どころは、葛飾北斎や歌川広重、歌川国芳らが描いた江戸の食の風景だ。会場には、江戸・日本橋から、京都・三条大橋まで、東海道の宿場町を描き、その土地の食材や名産を彷彿とさせる表現で人々を魅了した広重の連作『東海道五十三次』のほか、庶民の日常風景をユーモラスに活写するなかで食を楽しむ人々の姿をとらえた「北斎漫画」なども並ぶ。