東京都現代美術館で、カディスト・アート・ファウンデーション(以下、カディスト)との共同企画展「もつれるものたち」が開催される。会期は2020年3月14日~6月14日。
カディストは、パリとサンフランシスコを中心に、世界各地でアーティストやキュレーター、文化組織と協働で事業を行う非営利組織。作品の収集と展示に取り組みながら、社会的議論における現代美術の重要性を提唱している。同館は2016年からカディストと連携し、「MOTサテライト 2017秋 むすぶ風景」で行われた「ないようで、あるような」展をはじめ、東京とパリでふたつの展覧会を開催。本展は、その最後となる最大規模の共同企画展だ。
参加作家はピオ・アバド、リウ・チュアン、藤井光、デイル・ハーディング、磯辺行久、岩間朝子、カプワニ・キワンガ、ジュマナ・マナ、ミックスライス、トム・ニコルソン、スーパーフレックス&ザ・プロペラ・グループ、アレクサンドラ・ピリチ。10ヶ国以上で活動するアーティスト12組が集結する。
なかでも、制作を通して自らのコミュニティで語られてこなかった歴史を探り、ドクメンタ14(2017)やリヨン・ビエンナーレ(2019)にも出展したデイル・ハーディング、展覧会だけでなく各国の映画祭でも注目を集めるジュマナ・マナ、2018年にフリーズ・アーティスト・アワードを受賞したカプワニ・キワンガらは、今回が日本で初めての展示となる。
本展には木、種、化石、道具、本など、日々の暮らしと切り離すことのできない「もの」が様々なかたちで登場。アーティストたちはいくつもの現実や歴史が複雑に交差する現代を軸に、異なる時代や領域、視点を行き来する作品によって、もの同士の予期せぬ交わりやネットワーク、潜在的な親密さや緊張関係を明らかにしてゆく。作品はパフォーマンスから映像、インスタレーション、写真、彫刻など幅広いメディアにおよぶ。
また関連企画として、6月13日にはキュレーションに焦点を当てたシンポジウムも行われる本展。同時開催の「オラファー・エリアソン」「ドローイングの可能性」とあわせて、国内外の多彩なアーティストによる実践から新たな視座を得たい。